一橋大学 HIT MAGAZINE

■ 先輩に聴け!

「グローバルな金融のフロンティアへ」
三井住友海上火災保険株式会社 小林奈央さん

連載シリーズ「先輩に聴け!」では、一橋大学商学部を卒業した先輩に、大学時代の思い出や現在のお仕事、在学生へのメッセージなどを伺います。先輩の経験談に自分を重ねてみたり、新たな目標を見つけたり。

今回ご登場いただく方は、三井住友海上火災保険株式会社にご勤務で、現在はニューヨークの銀行に赴任されている小林奈央さんです。

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一橋大学商学部に入学した経緯について教えて下さい。

kobayashi1学ぶことの選択肢が広そうだと思ったことと、少人数の大学であることに魅力を感じたことが、志望した理由です。高校時代に周囲の友人がはっきりと「○○を専攻したいから、この大学のこの学部に行きたい」と言っているのに対し、私は漠然とマーケティングや会計に興味を持っていたものの、色々な選択肢を見てからじっくり決めたいと思っていました。
商学部といえば一橋というイメージがありましたし、旧商科大学として歴史のある一橋大学ならば、質の高い、幅広い選択肢の中から学びたいことを探せるのではないかと、期待していたのです。

少人数制ゆえのアットホームな雰囲気も魅力でした。大勢の中の一人になるのではなく一人ひとりの顔が見えるというところが、自分の好みに合っていました。

また、実はこれが一番の志望理由かもしれませんが、高校3年の夏休みにキャンパスを見学して、国立(くにたち)の街全体を含めたのどかな雰囲気が気に入ってからは、この大学に通いたいという思いを強くしました。ガリ勉タイプの生徒が多いのかなと思っていましたが、入学してみるとスポーツも盛んですし、勉強以外の特技や興味を持っているなどの魅力的な人が多かったです。

大学時代には、どのようなことに力を入れていましたか。

体育会弓道部に所属し365日中360日は弓を引いていたと言っても過言でない程、ほぼ弓道一色の生活を送っていました。
高校まで団体スポーツの経験は一切なかったのですが、同じ目標に向かう仲間と、時間や感情を共有することがとにかく楽しくて、自分でも驚くほどのめりこんでいました。当時、実の家族以上に長い時間、寝食共に過ごした仲間は今でもかけがえのない存在です。

大学の講義で学んだことなどで、印象に残っていることはありますか。

クレイトン・クリステンセン(Clayton Christensen)というアメリカの経営学者が書いた、The Innovator’s Solutionという本を、後期ゼミのテキストとして原著で読んだときの印象が、強く残っています。
例えば、人が物やサービスを購入する行為は、自分の”Job To Do”を解決するために行われるのであり、そのニーズを解決するのは既存製品と一見全く違うものかもしれないという論点があったのですが、理論の名前が先行する知識詰め込み型ではなく、マーケティングは決して特別なことではない、素直な目で市場を見直すことで新しい価値を生み出せるのだと考えさせられた本で、純粋に面白いと思ったことを覚えています。

ゼミでは、論点を確認した後、実在する企業の事例を挙げて議論しました。ゼミは毎週木曜の夕方に行われており、皆で議論しているうちに気づいたら夜遅い時間になっていた、ということもしばしばありました。その後に皆で食事に行ってリラックスしたのも楽しい思い出です。

現在お勤めの会社に入社された理由を教えて下さい。

就職活動中には、まだはっきりとした仕事のイメージは持てていなかったので、幅広い業種を回っていました。はじめは『プロジェクトX』で観た話に触発されて「日本はものづくりだ!」とメーカーを中心に見ていたのですが、社会のインフラとしての金融機関の役割に魅力を感じるようになって、志望業種が定まっていきました。

ただ、実際にどの企業に決めるかとなると、色々な考えがめぐって、最後は本当に迷いました。
当時ロンドンに滞在していたゼミの先生に相談したときに、「働いていて幸せかどうかということは、もちろん色々な要素で決まるけれど、会社は毎日行くところなので、職場の人間関係は大きいですよ」というアドバイスをいただきました。
この言葉に背中を押され、月並みな表現ですが、社員の印象が自分と合いそうだと感じた現在の会社を選びました。

入社してから現在までのお仕事の内容を教えて下さい。

入社後はずっと資産運用事業に携わっています。約5年間債券運用を担当した後、3年間融資業務を行ってきました。

現在は、アメリカの銀行に出向して、企業の信用分析業務を担当しています。新しく出来て間もないポジションで、これまでのキャリアと、英会話の勉強を続けていたことが上司の目に留まり、「行ってみないか?」と声を掛けてもらいました。入社以来9年間転勤のなかった私が突然海外勤務を始めるということで、周りの人は驚いていましたが、海外で活躍している一橋の先輩、友人を多く見ていたので、「自分も行くんだな」と、割と冷静な気持ちでした。

現在担当している仕事は、これまでのキャリアと近い業務ではありますが、言語の違いもありますしアメリカ人が当然知っていることを知らなかったりするので、思い通りにできないことも沢山あります。となると、もうがむしゃらにやるしかないのですが、入社10年目にして新しい環境の中でもがくというのも、新鮮でなかなかいいなと思っています。

出向先の会社では、オフィスにいる約500人の中に、日本人は私を含め2人しかいません。こうした環境の中でアメリカ人の感性やビジネススタイルを肌で感じること、彼らの目に日本の企業や社会システムがどのように映っているかを知ることは、本当に貴重な経験になっています。

最後に、大学時代の過ごし方について、後輩に向けてメッセージをお願いします。

勉強でも課外活動でも趣味でも、何でもいいと思いますが、自己研鑽と呼べるものをやっておくとよいと思います。大学時代に心を傾けて取り組んだことは、何であっても将来必ず心のよりどころになると思います。

後は英語です。
働いていてつくづく思うのですが、英語が話せなくても仕事はできますが、英語が話せればできることの幅は確実に広がります。どうにかして相手とコミュニケーションを取りたい、と強いモチベーションを持つことが英語の上達には一番効果があるように思いますので、短期間でもいいですから日本語の通用しない英語圏の生活に飛び込んでみては、と思います。

商学部は、英語でのコミュニケーションを実践する科目や、英語で学ぶプログラムに、最近力を入れているようですが、これはいいですね。自分の在学中にもあったらよかったのに、と思います。

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kobayashi2小林奈央(こばやし・なお)さん
横浜雙葉高等学校卒。2005年3月に一橋大学商学部を卒業し、同年4月に三井住友海上火災保険株式会社に入社。主として資産運用業務を担当。
2014年4月からニューヨークの銀行に出向して、企業の信用分析業務を担当している。

(2014年9月3日)