日本コカ・コーラ株式会社 小林麻美さん

多くの人に愛される新しい価値を

2013/07/01

連載シリーズ「活躍する卒業生」では、一橋大学商学部を卒業した先輩に、大学時代の思い出や現在のお仕事、在学生へのメッセージなどを伺います。先輩の経験談に自分を重ねてみたり、新たな目標を見つけたり。

今回ご登場いただく方は、日本コカ・コーラ株式会社で活躍する小林麻美さんです。

***

kobayashi-252x300.jpg 静岡で生まれ育った私が一橋大学を目指すようになったのは、高校2年生のときでした。母と東京を訪れた際に国立に立ち寄り、美しいキャンパスに一目惚れしました。小さい頃から会社員として働くことに漠然とした憧れを抱いていたこともあり、商学部を選びましたね。両親が公務員でしたから、私は別の世界を知りたかったのだと思います。「将来に向けて勉強するなら、この綺麗なキャンパスで」という気持ちでした。受験を後押ししてくれた両親には、今も感謝しています。

大学時代に所属したゼミでは、Oliver E. Williamson氏が提唱した取引費用理論を原書で学びました。英語の原書を読み進めることはなかなか大変でしたが、グループワークで読み進めるスタイルを通じて、たくさんのことを学びました。取引費用という視点に基づいて市場と企業を考えること自体に新鮮な思いを抱いたことを覚えています。ほかには、実際に企業で働く方が講演に来てくださる授業も、記憶に残っています。実際に何が起こっているのかという現場の声を聞けたことは、とても良かったと思います。理論一辺倒でも実践偏重でもなく、理論と現実をうまく対応させて考えられた気がします。

日本コカ・コーラ株式会社で働きたいと思ったのは、世界中で多くの方が知っているブランド「コカ・コーラ」をもつマーケティングカンパニーだったからです。メーカー志望だった友人も、背中を押してくれました。

会社では、色々なことにチャレンジさせてもらっています。現在担当しているのは、日本の天然水ブランドの「い・ろ・は・す」です。天然水市場で強いブランドを確立することは、日本コカ・コーラにとって課題でした。そこで2008年の春に、上司と同僚と私の3人でチームを組み、関連部門と一緒に様々なアイデアをもらいながらプロジェクトを始めました。そのなかで、技術部門からの「これまでに無いほど軽量化を実現したペットボトルを開発した」という情報に注目し、「おいしくて環境にいい天然水」というコンセプトを立てて製品企画を進めました。誇張ではなく、本当に朝から晩まで「い・ろ・は・す」のことを考えて過ごしていましたね。プロジェクトを立ち上げてから新製品を生み出すまで、あれこれ悩んだり大変なこともあったりしましたが、振り返ってみると、大学時代に授業やゼミで取り組んだグループワークと相通ずるところが多かったようにも感じます。

おかげさまで「い・ろ・は・す」は、発売翌月の2009年6月以来、600ml以下の小型PETボトルを展開するウォーターブランドの中で販売容量シェアNo.1 (注*)となっています。本当に嬉しいことですね。その後「みかん」や「りんご」のフレーバーシリーズも加わり、より大きなブランドに成長しています。今後も新しい価値の提案を続けていきたいと思います。

在学生の皆さんには、ぜひ色々なことを学んで欲しいですね。商学部の授業を通じて実学を深く学んで欲しいと思いますし、他学部の授業も積極的に履修してもらいたいと思います。一般教養は、社会に出てからとても大切になりますので。綺麗なキャンパスで、幅広い一般教養と深い経営思考力を養ってもらえたら良いと思います。

***

注*)インテージMBIの調査をもとに、日本コカ・コーラまとめ。全手売りチャネルでのシェア。

kobayashi2.jpg小林麻美さん(旧姓  鈴木麻美さん) 2000年3月に一橋大学商学部を卒業し、同年4月に日本コカ・コーラ株式会社に入社。2013年7月現在、マーケティング本部ウォーターカテゴリー、ウォーターグループにおいてマネジャーを務めています。 「い・ろ・は・す」は、環境省 容器包装3R推進環境大臣賞をはじめ数多くの表彰を受けています。小林さん自身は、2010年に、日経WOMAN誌においてウーマン・オブ・ザ・イヤーの一人に選ばれました。今後ますますの活躍が期待されます。 (2013年7月掲載)