商学部について

商学部の特色

商学部と経済学部の違い

商学部と経済学部の違い

「商学部と経済学部とで、学ぶことにどのような違いがあるのですか」という質問をしばしば受けます。大学やそれぞれの学部によって状況や考え方に違いがあるため一般論として述べることは難しいのですが、一橋大学商学部としては次のように考えています。少し専門的な話になりますが、じっくり読んでみてください。

商学部での教育・研究で扱う内容を一言でまとめると、「企業経営に関わる現象を対象とした応用的な社会科学」といえるでしょう。ここから3つのことが示唆されます。この3つが、経済学部など他の社会科学系の学部とは異なる、商学部の特徴です。
第一に、企業経営に関する問題・現象に焦点が当てられていることです。経済学をはじめとする他の社会科学でも、企業経営に関わる問題は部分的には扱われています。しかし商学部で学ぶ商学・経営学では、こうした企業経営の領域に対象が絞られています。
第二に、対象が企業経営に絞られているものの、それにアプローチする方法は限定されていないことです。企業経営に関する問題・現象を分析する場合には、経済学、社会学、歴史学、心理学、法学といった隣接する様々な領域の考え方が応用されています。例えば、金融論には、多くの経済学の理論や考え方が反映されており、両者の結びつきは強いといえます。とはいえ、商学・経営学全体としては、経済学とだけ関係があるわけではありません。会計学は法学と、経営学は社会学などとも関係が深いのです。その意味で、商学・経営学は「応用的」な社会科学なのです。
第三に、「応用的」ではあっても、独自の考察方法が発展していることです。例えば、経営学の領域の一つである経営組織論では、社会学、心理学、経済学などの考え方を基盤として、企業組織の問題や現象を扱っていますが、そこで考察されている内容は社会学などにおける考え方を直接適用したものではなく、独自の理論体系として発展しています。あるいは、会計学の一領域である監査論では、公認会計士の判断・意思決定を分析するのに心理学を応用しますが、分析の対象となっているのは心理学とは異なり「高度な知識を有する専門家」であるため、その研究成果は逆に心理学の発展にも寄与しています。

商学部で扱う内容は経済学部よりも実践的であると見られることも、しばしばあります。ビジネスの現場で直接役立つ内容を扱っているために、このような印象を持たれる方が多いかもしれません。しかし、「経済学が基礎で、商学・経営学は実践」、あるいは「経済学は抽象的で、商学・経営学は具体的」という区別で、両者の違いがすべて説明できるわけではありません。上述の3つの点とも関係するように、商学部で扱う問題や現象は応用的であると同時に、学問的にも固有の領域をもっています。
単にビジネスの世界で役に立つというだけでなく、学問的にも独自の視点から、企業経営に関する問題の本質を掘り下げています。商学部で学ぶ「実学」には、しっかりとした理論の裏打ちがあるのです。