商学部 島貫ゼミ

人材マネジメント:理論と実践の両面から企業戦略を実現する人材活用を考える

2017/08/01

島貫 智行 教授
理論と実践の両面から
企業戦略を実現する
人材活用を考える

[ THEME ] 人材マネジメント

島貫 智行 教授

慶應義塾大学法学部卒業。総合商社人事部門勤務を経て、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得退学。一橋大学博士(商学)。山梨学院大学講師、一橋大学講師を経て現職。専門は人材マネジメント論。主な研究関心は、日本企業の人事部門と雇用慣行の変化、就業形態の多様化に伴う仕事の質の変化など。

人材マネジメント論は、企業の戦略達成や競争力の確保を実現するための人材活用を考える学問領域です。人材(ヒト)という経営資源は、モノやカネとは異なり、人材一人ひとりの能力や意欲によって資源としての価値が変わり得るという特徴があります。したがって、企業が戦略を達成するためには、労働市場から必要な人材を採用するだけでは十分ではありません。仕事経験や教育訓練を通じて能力や技能を育成したり、仕事ぶりや成果を評価してそれに相応しい賃金や昇進機会などの報酬を与えたりして、人材の企業への貢献意欲を高めることが求められます。

ゼミでは、人材マネジメント論について理論と実践の両面から考えることを重視しています。人材活用にかかわる諸問題を考察するには、理論的な視点と枠組みをもって現実に接近するとともに、企業の優れた取組みの中から新たな知見を見出す試みが必要であると考えるからです。3年生は、欧米のビジネススクールで使用されている専門書を丹念に読んで、人材活用のフレームワークや専門知識を習得します。毎週20頁程度の英文を読んで要旨をまとめるとともに、企業戦略の違いに応じた人材活用法や、欧米の人事管理制度の日本企業への適用可能性などを議論することで理解を深めます。

また、日本企業の人事変革に関するケーススタディを通じて客観的な分析力を涵養し、先進企業の人事マネジャーとの対話を通じてその優れた思考法を学びます。4年生は、各自の問題意識に基づいて卒業論文に取り組みます。研究テーマは、グローバル人事、成果主義、社内活性化、経営統合の人事、障害者雇用など様々であり、学生自身の新しい発想を大事にしています。

日本企業には正社員を中心とした長期雇用や企業内人材育成、能力主義賃金といった伝統的な雇用慣行があるとされていますが、今多くの企業が経営のグローバル化を進めるなかで、人材のダイバーシティに対応した新たな人材活用を模索しています。一橋大学で学ぶ学生の皆さんとともに、日本の人材マネジメントの未来を考えたいと思っています。

ゼミ生の声 Student's Voice

私が所属している藤原ゼミでは、経営戦略やイノベーションについて学んでいます。内容は、テキストを輪読して基本的な思考法 や経営戦略についての様々な考え方を学びながら、経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」の観点からある特定の企業を分析するというものです。テキストを使った学習では、先生やゼミ生が提示した論点について全員で議論することで、より正確かつ深い内容の理解ができます。これは1人で本を読んでいるだけではなかなか難しいことなのではないでしょうか。また、同時に企業分析を行うことで学んだ考え方をどのように使えるのかを実感することができ、非常に面白いです。

学生同士の活発な意見交換や、自分の関心があることを突き詰めていく積極的な学習は大教室の授業ではなくゼミだからとそできることだと強く感じています。これからも個性豊かなゼミ生と共に、しっかりと主体性を持って学んでいきたいと思います。

2018年度向け一橋大学案内より