「企業金融の理論と実務(みずほ証券寄附講義)」
第12回講義録

2021/12/09

2021年12月9日の第12回講義では、ゲストとしてアジア・アフリカ・インベストメント&コンサルティング社(AAIC)代表パートナーの椿進様をお招きし、「海外の社会課題への投資について」として、アフリカでの投資・ビジネスを中心に、AAICシンガポール本社よりご講義を頂きました。

冒頭の幸田先生によるガイダンスでは、椿様のご講義に先立ち、日本のベンチャーエコシステム、VC投資に関する問題点と改善策・今後の課題について、海外との比較を交えながらご説明頂きました。

椿様のご講義では、アフリカ諸国で急速に進んでいる開発の状況と、そこでのAAICの具体的な取組みを中心にお話頂きました。アフリカでは、既得権者・規制の壁に縛られない分、最先端のビジネス構造を持ち込むことが可能ではあるものの、一方で未開発の地域も残されており、AAICでは雇用の創出、ヘルスケア・ファンドへの投資等を通じて、開発を進められているということでした。

対談パートでは、「アフリカのことを知らない」、「英語力不足」といった単純なことが、日本のアフリカ進出を阻む要因であること、また今後人口減が懸念される日本にとって、日本人の海外進出・外国人の受入れとも、人口の10%程度を目指すのが望ましいのではないかということが議論の中心となりました。

学生からの「アフリカで取り入れられているシステムの中で日本でも取り入れた方が良いと思われるものは?」という質問に対しては、「M-PESA(プリペイド式携帯による資金決済システム)やドローンを使用しての血液輸送等が挙げられる。しかし、日本では規制が厳しいため、なかなか実現しにくいと思われる」とのご回答でした。また、「ビジネスが急展開することにより、早すぎる脱工業化が起きてしまい、雇用の創出に結びつかないのでは?」という問い対しては、「アフリカのデジタル化はプラスに働いており、その分野での雇用の拡大もみられる。また、エチオピアをはじめとした国では、軽工業からの輸出モデルなどアジア型の経済発展も進んでいる。まずは政治・政府の仕組みを整備していくことが、重要である」とのお話でした。

履修者からは「馴染みの薄いアフリカの現状を知り、驚いた」、「アフリカにおけるイノベーションについて初めてきくことができた」、「日本のVC投資の遅れや今後の課題について、理解が深まった」といった感想が寄せられました。

みずほ寄付講義第12回講義
みずほ寄付講義第12回講義対談
ゲスト講師 椿進様(左)
幸田博人先生(右)

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