商学部4年 安齊杏香さん

英語環境で理系学生とも協働し、自分に自信がついた

2023/02/20

アールト大学(フィンランド)留学 2021年9月~2022年6月
(渋沢スカラープログラム7期生)

入学前から留学を希望、それを実現すべくSSPに応募

渋沢スカラープログラム(SSP)をはっきりと意識するようになったのは2019年4月に入学してからです。高校時代から、大学に入ったら留学をしたいと考えており、そのための支援を得られるのを魅力的に感じました。先輩方の体験談を聞いたりしながら志望を固めていき、1年次の導入ゼミの先生に推薦書を書いていただいたりして応募書類を整え、晴れて2年次からSSP生として学ぶようになりました。

カリキュラムの内容は、1年次に日本語で学んだ経営、会計、金融、マーケティングの基礎を英語で学び直すイメージです。時節柄、すべての授業はオンラインで行われましたが、インタラクティブであり、先生や同級生との距離が近く感じられました。英語でのレポート作成も、いい訓練になりました。

留学先にはフィンランドのアールト大学を選びました。SSPの先輩から、アールト大学はデザイン分野でその名を知られており、サスティナビリティについても深く学べるという情報を得ており、一橋では学べないことを学べそうだと思ったのです。私はそれまで、アメリカには短期で滞在したことがあったのですが、ヨーロッパでこれまで見たことのない景色を見てみたいとも考えました。

ただ、世界的な新型コロナウィルスの流行のため、実際に留学できるかどうかは不安でした。留学内定書をもらったのは2020年12月で、最終決定したのは21年7月。半年間は普通に授業を受けながら吉報を待っていました。

留学先のグループワークで知った、発言し続ける大切さ

アールト大学へ行ってみて驚いたのは、実は、カルチャーギャップが「なかった」ことです。ヘルシンキの街はきれいで住みやすく、フィンランドの人たちはシャイで日本人と似ているとも感じました。

ただ、授業については最初は苦労しました。すべて英語で、4人から7人位でのグループワークが中心なのですが、議論の展開が早くてついていけないのです。語学的にではなく内容的にです。その壁を乗り越えられたのは、留学から3カ月ほどが経ってからでした。

グループワークで大事なことは、積極的に発言し続けることだと思います。しかし留学直後の私は、自分の発言が正しいかどうかを必要以上に気にしていました。間違ったことを言いたくないからと考えをまとめているうちに、議論から置いていかれてしまう。しかし、周囲を見てみると、もっと気楽に発言しています。そこで私も、とにかく数を打つ、考えがまとまっていない段階でも積極的に発言するようにしたところ、チームへの貢献を実感できる場面が増えてきました。

最も印象に残っているのは「プロダクト・ディベロップメント・プロジェクト」という授業で、企業とコラボレーションをしながらゼロから商品開発をしました。12人のグループの中で、私が唯一のビジネス系の学生で、ほかは全員がエンジニアリング専攻の学生。ですから、市場調査やユーザー調査は私の役目でした。私たちのグループは着用型(ウェアラブル)空気清浄機の開発に取り組み、試作品まで作りました。理系の学生と協働でき、そこにおいて、カスタマー目線を持ち込むなどの貢献ができたことは、一橋にいただけでは得られない良い経験になり、大きな自信になりました。

「Nippoli」という名称の、日本好きのフィンランド人学生と日本からの留学生から成るサークルにも所属し、オンラインイベントも主催しました。SSPや一橋の他学部の同様のプログラムの学生、日本の他大学の学生に向けて発信し、参加した人からはおかげさまで好評でした。

留学経験者はみな「留学して良かった」と言う

帰国後は留学前と同様に加賀谷哲之先生の後期ゼミで学んでいます。加賀谷ゼミは、商学部で一番忙しいゼミと言われています。そこに身を置けば成長できると思って選びました。噂通り、発表の機会が毎週巡ってくるなど準備が大変ですが、どんどん調べていくうちに新しい発見があるので、楽しさも感じています。友人たちからは、「留学から帰って、堂々とした態度をとるようになったね」と言われます。

現在は、一橋大学派遣交換留学生の会(HEPSA)でも活動しており、オープンキャンパスなどで訪れる高校生向けに留学制度の発信を行っています。HEPSAには私自身がとても助けられたので、恩返しをしたいのです。留学経験者はそれぞれ大変な思いをしているはずですが、全員が「留学をして良かった」と言います。「しないほうが良かった」という人には会ったことがありません。私自身も、いずれは海外に住んで働きたいと思っています。そう思えるのも、SSPで留学が実現できたからこそです。とりあえずは就職活動が終わったら、もう一度、フィンランドを訪れたいと思っています。