商学部4年 小野靖史さん

英語が得意でなくても、飛び込んでみればなんとかなる

2023/02/06

ローザンヌ大学(スイス)留学 2021年9月~2022年7月
(渋沢スカラープログラム7期生)

SSPには熱意ある人が多く集まる

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小学校、中学、高校と、進学する度に行動範囲が広がり、大学で上京した私にとって留学は、その延長線上にあるものでした。より遠くの世界へ行きたい、見たことのない場所へ行きたい。そう思い続けてきました。渋沢スカラープログラム(SSP)に応募したのは、留学が必須で、優先枠があることが決め手でした。2年次に英語で専門科目の授業を受けることも、留学の良い準備になるだろうと考えました。さらに、SSPにはグローバル思考や、勉学への熱意を持った人が集まる場としての魅力も感じていました。

気がかりがあるとすれば英語でした。私は入学前から数学が好きな一方で、英語は得意ではありませんでした。中学生の頃は定期試験で平均点以下のこともありましたし、高校生になっても得意とは言えず、せいぜい、足を引っ張らない程度だったからです。ただ、その苦手意識も、1年次にPACE(英語で受ける必修授業)を受講したことで、頑張ればなんとかやっていけるだろうと思えました。もともと、あまり恐れずに「とりあえずやってみよう」と考えるタイプなのです。

応募を決める前には、SSPの先輩方が多く参加していると聞いて、SSPプログラムディレクター(当時)のクリスティーナ・アメージャン教授(現・名誉教授)が主催するOne Bridgeセミナーにもたびたび出席していました。

2年生になってSSPのプログラム生として学び始めると、想定と異なる部分も出てきました。要因はコロナ禍です。外部の方にインタビューをする課題でも、以前なら対面で行っていたはずが、オンラインになりました。ただ、そのおかげで、在外日本大使館の方に話を伺うという貴重な機会も得られました。また、SSPの授業では課題の多くがグループワークを伴うもので、オンラインと言えども、ほぼ毎日のように級友と顔を合わせていたため、孤独を感じずにすみました。

非英語圏で多様性に触れられた

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留学先はスイスのローザンヌ大学です。当初から非英語圏の大学に行きたいと思っており、ヨーロッパか東南アジアを考えました。ただ、東南アジアは日本から近く、バックパッカーとして旅もできそうです。そこでヨーロッパの、フランス語圏にあるスイス・ローザンヌ大学を選びました。フランス語は国連共用語であるなど国際的な言語なので、後々役に立つと考えたのです。それにスイスは、ヨーロッパの中心に近い内陸部にあるので、多様な文化に触れられるのではないかとも思いました。

私の出席した授業はすべて英語で行われました。最も印象に残っているのは、「ストラテジック・フォーサイト(戦略的未来洞察)」という授業です。未来洞察とは、過去の延長線上に位置する未来を想定する "予想"とは対比される、想定外の未来を推し量ることを意味します。たとえば2018年頃にコロナ・パンデミックを"予想"できていたかというと難しいでしょう。新しい概念に触れられたのはいい経験でした。

また、不正会計について学ぶ授業もあり、私たちのグループでは20年ほど前にドイツで起きた不正会計事件を扱いました。ウェブ上に英語での情報がほとんどないなか、国籍の違う学生同士で協力しあって、書籍などからなんとか手がかりを探し出して発表できたのが良い思い出です。

フランス語については、少し耳が慣れたところで帰国となりました。ローザンヌでの生活で困ったことはあまりありません。想定と大きく違っていたことがなかったからです。それでも、明文化されていない行政手続きに直面した際などには、ローザンヌ大学への留学経験のあるSSPの先輩に、現地からLINEで質問ができて大変助かりました。

SSPの後輩のメンターとして活動中

帰国後はそれまで所属していた加賀谷哲之先生の後期ゼミに戻り、「日経STOCKリーグ」にも参加しました。チーム内で投資テーマを決めて銘柄選定を行い、その銘柄選定の過程(問題意識、銘柄選定ロジック、選定方法のユニークさなど)が審査対象になります。私のチームのテーマは「多様性とイノベーション」。そのテーマに決めたのは、多様性が強みになると留学先で実感したゆえです。

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帰国してからは、SSPの7期生である私たちが、9期生のメンターとなる仕組みを整え、代表を務めています。実は、留学中にLINEで相談に乗ってくれた先輩はSSPの5期生で、私のメンターであった方です。7期と9期の間のメンター制度も、この5期と7期の間の制度にならったものであり、次世代への恩返しのつもりで取り組んでいます。

留学ではっきりしたことは、私には自然の中で暮らすのが合っているということ。ローザンヌ大学はレマン湖のすぐ北側にあり、南東方向にはアルプス山脈も見えます。そうした環境にいると、せわしないはずの学生生活もどこか豊かに感じました。このことは、自分の将来について考えるいい機会になりました。一橋卒業後はグローバルに活躍できるよう、語学力だけでなく専門性も身につけていきたいと考えています。