商学部4年/5年一貫MBA1年 岩元 雄太さん

一橋のMBAは、高いモチベーションを備えた活気あふれる同期と切磋琢磨しあえる最高の場所

2023/03/16

5年一貫プログラムでMBAへ

現在、商学部で4年生として過ごしつつ、学部・修士5年一貫教育プログラム生としてMBA(経営分析プログラム)でも学んでいます。学部の3年間で経営学を中心にさまざまな理論やフレームワークを学んできたので、「それが実務でどう適用され、適用していくべきなのか」という点について、さらに深く探求するためにMBAに行こうと考えました。当初は学部を卒業してからMBAに進学して2年過ごすつもりでいましたが、ゼミの指導教員でもある中野誠教授(経営管理研究科)からご紹介いただいた5年一貫プログラムに魅力を感じ、応募することを決めました。幸いなことに選抜を経てMBAの講義も受け始めることができ、1年目が過ぎようとしています。

商学部の4年とMBAの二刀流で過ごした1年間

学部の単位自体は3年次にほとんど取り切っていましたが、学部4年次は専攻分野以外の知見を得ようと心理学などの講義も受講していたこともあり、正直かなり忙しかったです。特に11月頃からは、学部、MBAのレポート、卒論、就活、ビジネスコンテスト(日経ストックリーグ)が同時並行で進んだので、体力的にもかなりきつい部分はありました。ただ、一橋ビジネススクールは学生のモチベーションが極めて高く、ハードワーカーばかりなので、仲間からはいつもいい刺激をもらっています。

草津の小旅行
草津の小旅行

MBA(経営分析プログラム)の学生の年齢幅は広く、最初のころは、自分より10歳も20歳も上の社会人の方と一緒に学ぶのは、社会で活躍されている方々でもありますし、とても緊張していました。グループワークでも、他の人たちの意見になかなか反対できずにいたんですね。ですが、あるときに、先輩と仰ぐ同級生から「岩元の考えは間違ってはいないのだから、ちゃんと言うべきだ」とアドバイスをいただいてからは、年上の同級生たちにも自分の意見を言えるようになりました。会社に入ってしまうと、なかなか上司に違う意見を言うのは難しいと感じてしまうけれど、MBAはある意味フラットな場なので、社会に出る前にこういう経験ができたのはすごくよかったなと思っています。また、MBAの同窓会組織マーキュリー会の事務局業務なども含め、いくつものタスクをこなしたことで、タスクの管理能力もかなり身に付きました。

忙しい日々の合間を縫って、静岡や草津などふらっと小旅行に出かけ、気ままにいろんな土地を楽しんでいます。出身地の鹿児島にもいいところがたくさんあって、地元にいたときはなんとも思わなかった桜島も、東京に出てきてからは、帰省してその景色を見るたびに感動しています。最近では、東京の街を歩くのも気に入っていて、ラジオや音楽などを聴きながら散策しています。銀座などは20代から見るとクラッシックであり、面白い世界が広がっているなと思います。

学部時代に理論を学び、次にビジネスの現場に視線を向ける

以前、本学の『HQウェブマガジン』の中で、ビジネスの構想力を鍛えるには、歴史に学び、現在を広く深く観察し、そして考える必要があり、そのための期間として大学生活はとても大切だという記事がありました。まずは理論を学び、次にビジネスの現場に視線を向ける。このプログラムは、学部の3年間で理論やフレームワークを学び、その後2年間で、理論やフレームワークの復習をしながら、ケーススタディやゲストスピーカー講演やグループワークを通して、理論が実務の世界でどう生きているかを学んだり理論を実務に適用する訓練を行ったりします。その一連の流れを誰よりもスピーディーに密度濃く経験することで、社会に出てから即戦力として実務に取り組めるということが、このプログラムの優れている点だと考えています。

ファミリービジネスにおける意思決定上の特徴を探る

MBA受講中の岩元さん
MBA受講中の岩元さん

この4月からは少人数のワークショップに所属して、ワークショップ・レポートの執筆に向けた分析も始めます。私は「ファミリービジネスにおける意思決定上の特徴」に関心を抱いています。ファミリービジネスにおいては、いわゆる所有と経営の分離が生じず、それ故に経営者の利己的行動が起こりやすくなる可能性などが指摘され、実際に問題も生じています。その一方で、成功を収めた企業も数多くあり、むしろ統計的にはファミリー企業の方がそれ以外の企業より業績が良いと結論付ける研究結果もあります。そこで、ファミリー企業が「経営者の利己的行動」などの危険を伴いながらも成長してきた理由、そして今後も成長していくには何が必要かについて探りたいと考えました。学部の卒業論文では、日本のファミリー企業の現金保有、資本構成、投資、配当に着目して研究を行いました。MBAのワークショップでは、これを海外企業に拡張したり、利益マネジメントという観点から新たに検証を加えたりしてみたいと考えています。

"captains of industry"を体現し、企業をけん引する存在に

今の時点で明確なキャリアを描いているわけではないのですが、ゆくゆくは商学部・経営管理研究科のミッションでも掲げられている"captains of industry"を体現し、企業をけん引する存在になりたいと考えています。ハーバードビジネススクールのJohn P. Kotter名誉教授は、『John P. Kotter on what leaders really do』(邦訳『リーダーシップ論』1999年、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部)の中で、経営者が担うべき使命は、単に複雑な競争環境に対応することではなく、もっと大局的に企業の将来を見据え、目指すべきビジョンを策定し、従業員がそのビジョンに向けて一丸となって取り組めるように従業員のモチベーションを高めることだと語っています。そのような経営者がいる会社は、目指すべき姿に向かって変革を遂げられるというだけでなく、従業員が幸せに働ける職場であるという点においても、健全な成長を遂げられる企業であると言えると考えます。給与という外発的な動機で上から命じられた仕事を淡々とこなす職場より、ビジョンを周囲と共有し、その達成を内発的な動機として働く方が幸せだと思えるからです。

もちろん、最初からリーダーにはなれません。まずはチームの一員として働くことから始め、徐々に人をマネジメントする立場になっていくことで従業員のモチベーションを高める力をつけ、自らのリーダーシップを養っていきたいと考えています。と言いつつも、キャリアの不確実性が高い社会なので将来どうなるか分かりません。ただ、どんな職場であっても、どんな立場であっても一生懸命に学び、貪欲に成長を目指していきたいと考えています。

(2023年3月掲載)

経営分析プログラム(国立キャンパス:昼間コース)および経営管理プログラム(千代田キャンパス:夜間コース)の同窓会組織