商学部 鈴木 雅貴 准教授ゼミ

ファイナンス:数式を使って考える力・応用力を養う

2023/07/13

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鈴木雅貴准教授(写真:後列左から3人目)のゼミを、谷義秀さん(商学部4年)に紹介してもらいました。



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鈴木雅貴准教授ゼミに所属する商学部4年 谷義秀さん

私は、鈴木ゼミでファイナンスを学んでいます。具体的には、証券投資におけるリスクとリターンの関係や、それを踏まえた最適な資産の組み合わせ(ポートフォリオ)の選択、株式・債券・オプションなどの金融商品の価格決定メカニズムを勉強しています。ゼミでは、理論についてテキストの輪読を通じて学んだ上で、プログラミング(Python)を用いて、実際の株式データから最適なポートフォリオを算出したり、オプションの理論値と近似値を比較するなどして、学んだ理論を実地に確認する機会があります。

ファイナンスを扱う鈴木ゼミですが、卒業論文のテーマはゼミ生各自の興味関心が尊重されており、ESG投資やコーポレート・ガバナンスに関連するものから、企業の無形資産形成といった会計に関連するものまで多岐に渡ります。私は、「株主優待が株価に与える影響」について研究をしています。私自身が株主優待を楽しみに株式投資を行っていることに加えて、日本では上場企業の約 4 割が株主優待を実施しているのに対して、海外では珍しいという日本の独自性にも興味を惹かれ、このテーマを選びました。特に、近年増えている株式の継続保有条件*が株価に与える影響に注目しています。鈴木先生からは、仮説や検証の方法についてアドバイスをいただいており、これを踏まえて研究を進めていこうと考えています。

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毎回、ゼミ冒頭で1週間のトピックスを紹介しあいます

ゼミではファイナンスを学ぶために数式が多く出てくるのですが、その意味を理解することを重視していることが、鈴木ゼミの特徴だと思います。鈴木先生はよく「それを言葉で説明すると?」と疑問を投げかけ、本質的な理解を促してくださいます。また、鈴木ゼミでは、理解できないことをごまかさないことが求められており、言葉の定義などが曖昧な説明は追及される一方で、どうしてもわからない場合は、鈴木先生が理解の手助けをしてくださいます。

ゼミでは本質を理解しようと深く考える力や妥協を許さない姿勢、自らの考えを簡潔に伝える能力が養われていると感じます。また、ファイナンスの理論を学ぶことで、現実の市場動向や金融政策が身近に感じられるようになることもこのゼミの良さだと思います。

*株式の継続保有条件:一定期間以上、株式を継続して保有している株主に対して、追加的な株主優待を付与する、あるいは、そのような株主に対してのみ株主優待を付与する制度




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鈴木 雅貴 准教授

ゼミ生への言葉

経営学の中でもファイナンスでは数式をよく使いますが、数式を解いて答えを求めるということよりも、それを用いて経済や経営の現象をどう解釈できるかということを重視にしています。最近は、金融の世界に理系人材も多く入っていますが、商学部を卒業する皆さんにはぜひ、数値を基に「考える力・応用する力」をつけてほしいと考えています。

私のゼミでは、経営学理論だけではなく、プログラミングも経験してもらっています。情報工学の専門課程ではありませんが、触ったことがあるというだけでもその後の習得は早いので、社会人になってから、職場で進むデジタルトランスフォメーションに対応する上で、この経験は大いに活きると思います。

学部生活のうちにできる勉強は、学問として10ある中の2か3まででしかないので、むしろ学生時代にしかできないこと、例えば人との出会いや仲間との絆を作るといったことを大切にしてほしいですね。もちろん、研究者の道を目指して10を究めることも歓迎です。

鈴木 雅貴 准教授

2011年に一橋大学経済学研究科で経済学博士号を取得し、武蔵大学経済学部専任講師、横浜国立大学国際社会科学院准教授を経て、2020年より現職。最近の研究上の関心は、確率測度に関する不確実性(曖昧性)と資産価格との関係にある。具体的には、マクロ経済変数の確率過程に曖昧性が存在する状況下において、家計の曖昧性選好が、資産価格の動学に与える定量的な影響を分析している。