弓道部 初代女子部主将インタビュー
商学部3年 廣瀬 小春さん

2023/09/19

陸上から弓道へ

大学で弓道を始めるまでは、都立国立高校(以下、国高)で陸上競技をやっていました。種目は長距離で、毎朝7時半ぐらいから始業の8時15分ぐらいまで練習してから、急いで高校へ行くという生活です。国高の練習は一橋大学の競技場を使わせてもらっていて、一橋の陸上競技部と一緒に練習をやることも多く、大学の監督が高校生も一緒に指導してくださっていました。こうした交流の機会もあり、自然とこのまま一橋にいたいな、という気持ちで受験を考えていました。

高校生活をやりきっての計画浪人

img_blog20230907_01.jpg

国高では、学生主体で運営する「国高祭」という文化祭があります。例年、大勢の来場者があり、発表する作品のクオリティも高く、「日本一の文化祭」とも言われています。高校3年間クラス替えがなく、同じ仲間で創る最後の文化祭を成功させたいという思いで、全力で取り組みました。勉強時間もあまり取れない中でしたが、もちろん現役で一橋に入学しようと、当初は考えていました。ですが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということではないですが、受験と文化祭の両方を中途半端にやるより、この仲間との時間を大切にしたいと思いました。その年は練習のつもりで受験をし、落ちたら他大には行かず、進路を浪人に切り替えようと考えていました。翌年、一橋受験のための十分な準備もできて、無事に商学部に入学することができました。

商学部の授業では、特に面白いなというものに出会いました。それが今のゼミにも繋がるのですが、「組織論」がとても面白いです。人の動かし方とか、チーム内のリーダーだけではなく、フォロワーやいろいろな人の役割を理論的に考えるのが楽しくて、1年の後期からずっと経営組織論を専攻し、坪山雄樹先生の指導を受けています。弓道部という組織を率いる執行部として、ここで学んだことはとても役に立っています。

どんな役割でも勝利に貢献することができる

img_blog20230907_03.jpg
商学部公式Instagramより

私は女子部主将として部員全体を見ているわけですが、今の2、3年生とは長い付き合いで、一人ひとりのことも分かっています。皆も同じ方向を向いてくれている感じがして、本当に助かっています。新型コロナウイルス感染症の自粛明け後、今年4月の新入生は、これまでの2倍にもなりました。経験者、初心者、留学生など、さまざまなバックグラウンドを持つ部員が集まる中で、弓道の基本精神をしっかりと伝えることは、なかなか大変です。弓道は「礼節」を大切にし、「相手を慈しむ」こと、そして、心と技を一体とし、内面の価値を高めていくという考えがあります。ですが、このような多様性のある組織の中では、多面的・多角的に考えて、どのポジションの部員も同じくサポートをしていかなければと考えています。

弓道の技術についても、レベルは人それぞれです。私の場合は初心者で弓道を始めて、2年生で一番調子が上がったあとは伸び悩みました。そこで運営側に回ることが多かったのですが、選手になれなくても、勝利に貢献することがいっぱいあると、気づけたのが良かったと思っています。気持ちを新たにしたら、とても充実感が湧いてきたんです。試合に出ている仲間に対しての掛け声一つでも選手は安心します。また試合に出られるかどうか分からない交代選手をどれだけフォローできるかによっても、全体のモチベーションは変わってきます。以前の自分がそうであったように、控えであっても自分も選手なのだという意識を持たせるのは、最初は難しいです。今日は試合に出られないと落ち込んでいる部員の姿を見て、そういう気持ちは周りに伝わるなと感じました。ですので、主将として積極的に声をかけます。本人の気持ちがすぐに切り替えられなくても、「どんな役割でも勝利に貢献することがいっぱいある」と、いつか気づいてくれると嬉しいなと思います。

弓道部124年の歴史と初代女子部主将

弓道部は、今年で創部124年目を迎えます。そして私は初代の女子部主将となりました。昨年まで女子責任者という形を取っていましたが、弓道部の同窓会組織である梓会より、新しい時代に向けて「男子部主将」と「女子部主将」とが、並んで前を向くというのがいいのではないかと助言をいただきました。

女子部主将の役割としては、弓道連盟での年間スケジュールの調整や他大学との試合のセッティングなどもあります。また、対外試合において相手校へ挨拶する際に、部員が一列に並ぶ中、私の「こんにちは!」という掛け声のあとに続いて、全員が大声で挨拶し、気合を入れます。試合には卒業された先輩方もよく応援に来てくれるので、後輩たちの士気も高まっています。私も2年次に、初めて全関東大会に出場して、日本武道館で弓を弾きましたが、最後の1本の矢が、的のど真ん中に吸い込まれた瞬間に、静まり返っていた会場中から大きな拍手をもらえました。会場にいる選手、スタッフ、観客の応援が、ひとつになる素晴らしい瞬間です。

今後の目標と将来、進路について

img_blog20230907_04.jpg

弓道部の今後の目標はリーグ2部への昇格で、部員が一致団結して上を目指していこうと思います。個人的には、卒業後のビジョンも少しずつ考え始めています。私は地元で、さまざまな家庭の事情を抱えている子どもたちの学習支援活動もしています。授業や部活で忙しい時期もあり、辞めようかなと考えたときもありましたが続ける道を選びました。子供たちと一緒に勉強して、ご飯を食べて、スタッフ全員で子どもの家庭状況やその日の調子を共有してサポートしています。つらい思いをしている子も多く、心を開いてもらうには時間がかかりますが、「今日は学校どうだった?」というような会話から、少しずつ関係性が築かれていくことを実感していて、教育関係の道にも興味が湧いてきました。将来は商学部での学びや、弓道部の執行部での経験を生かしていけたらいいなと思います。

商学部公式Instagram >>コチラ