商学部2年 北村 草太さん/参加者レポート:第12回スチュワードシップ・セミナー

2023/09/27

9月4日に開催された「第12回スチュワードシップ・セミナー」の特別講演とパネルディスカッションに、将来世代の代表として商学部2年生の北村草太さんが参加しました。このセミナーは、一般社団法人スチュワードシップ研究会が主催するもので、『日本企業の価値創造力と投資家の役割を考える』というテーマで、オンラインにて開催されました。当日は本学経営管理研究科の円谷昭一教授をモデレーターに、アナリストやファイナンスの専門家の方々が加わり、有意義なディスカッションが行われました。

<参加者レポート>
商学部2年 北村草太

学生生活について

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現在、私は本学の課外活動団体である「投資サークルTOWALY」の代表を務めています。TOWALYは、投資や金融に興味のある学生が集まって、経済ニュースの交流や銘柄分析を中心に活動している学生サークルです。全国レベルの学生投資コンテストにも定期的に参加し、優秀な成績を収めています。

私は、祖父が税理士をやっていた影響で、以前から税務と会計に関心を持っていました。ですが、一橋の商学部に入学して、その学びの中で投資と金融の魅力に気づき、新たな分野を専攻するようになりました。会計や税務はロジックの世界ですが、投資や金融はロジックと非ロジックが混在する世界で、その奥深さやダイナミズムに惹かれました。前期のゼミでは、中野誠先生のコーポレートファイナンスを学びつつ、課外活動で投資について研究しています。

特別講演

今回のセミナーは、特別講演とパネルディスカッションの2部構成となっており、私は両方に参加し、金融の実務家の方々に交じり、次世代代表として発言をさせていただきました。特別講演では、「次世代が考える就職・投資・資産形成」というテーマで、「投資」に焦点を当てて、お話しさせていただきました。その中で、社会に対して真の価値を提供している企業だけが、変わりゆくビジネス環境で長期的に成功できる。そして、そうした企業を見極めるためのリトマス紙として、自分自身がその事業の価値に共感できるか否かという判断基準が有用である、ということに基づいて、「事業内容や企業理念が共感できる企業」に投資したいという考えを強調しました。普段から自分なりの投資哲学は持っていたのですが、それを改めて整理することはありませんでした。今回、講演するにあたり、自分の頭の中にあった投資に対する考え方を体系化する良い機会になったと感じています。

パネルディスカッション

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パネルディスカッションでは、機関投資家を含めた資本市場の専門家とともに、日本企業の課題と投資家の責任について議論しました。日本企業の低い利益率やROE(自己資本利益率)の背後には、イノベーション不足や事業の「選択と集中」の欠如があるとも言われています。その改革には機関投資家の果敢なエンゲージメントが不可欠で、さらにそれを後押しするためにはアセットオーナーも資本市場を積極的に変革していく姿勢を持つことが重要である、という共通認識に達しました。市場の最前線で戦う機関投資家の方々との交流は、大変刺激的なものとなりました。

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パネルディスカッション全体を通じて最も心に残ったのは、機関投資家の方々が持つ資本市場に対する情熱です。利益追求が前提でありながらも、各々が投資先企業や日本の株式市場全体の向上に真剣に取り組んでいる姿に感銘を受けました。このような熱意を持ったプレイヤーが存在することで、日本の資本市場はより良い方向に向かっていくのではないかと、将来世代として、期待を抱くことができました。一方で、資本市場の参加者の一人として、自分も意識を変えていかなければならないと感じました。

将来世代の一人として

株式投資では、株主として会社に影響力を発揮することができます。特に資金規模の大きな機関投資家が果たす役割は重要であり、昨今の企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みも機関投資家による影響力の行使が大きな後押しとなったと言えます。今回のセミナーを通じて、投資という行為が社会に変革をもたらす力を持っていると再認識しました。社会に真の価値を提供する企業と、それを支える投資家の協調によって、株式会社日本は新たな活力を得るはずです。この観点から、今後の資本市場に関わる将来世代の一人として、残りの大学生活を通じ、日本企業の課題や、金融・投資がそれをいかに解決できるかということについて、考えていきたいと思います。

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※ 主に日本株式に投資する機関投資家が会員となってネットワークを形成し、スチュワードシップ活動を行うための「実力」を備えるための研鑽の場を提供し、併せて適切なスチュワードシップ活動を行うための環境整備に資することを目指して、2014年10月に設立。