商学部4年 和田晃征さん

留学先で学んだ生き抜く術と精神

2023/10/02

メルボルン大学(オーストラリア)留学 2022年7月~2023年7月
渋沢スカラープログラム8期生

留学を決意できた一橋大学の制度

私が一橋に入学したころはコロナ禍で、学生生活をどう過ごしたらよいかを積極的に考えることができていませんでした。しかし、1年次の後半に入り焦りを覚え、改めて将来の進路を思い描く中で、留学が一つの選択肢として浮かびました。とは言え、性格が安定志向なうえ消極的で、語学面で授業についていけないリスクを考えたり、費用的な問題を理由に、一度は留学を諦めました。

その後、改めて留学を決意するに至ったのは、渋沢スカラープログラム(SSP)派遣留学制度があったためです。SSPは英語で講義を履修する必要があり、修了のためには1年間の留学が必須となっています。このプログラムを活用することで英語の苦手意識を克服するとともに、半ば強制的に留学に行かなければならない状況をつくろうと考えました。一橋の派遣留学制度は、海外協定校と派遣定員の多さに定評があり、加えて留学費用の約半分がカバーされるうえ、きめ細かいサポートがあるということで、安心して留学に行く決意を固めることができました。

グループワークで学んだ専門性の大切さ

寮の友人とともに(左から2人目が本人)

留学先ではほとんどの授業でグループワークがあり、英語が苦手な私にとっては本当に修行のような時間でしたが、そうした中で「1つの領域で秀でること」の重要性を痛感しました。というのは、留学生活においてチームメンバーとの意思疎通に苦戦したのはもちろんですが、英語ができないがゆえに能力が低いと認識され、意見を聞いてもらえないと感じることも多々あったのです。加えて、グループワーク以外の時間でも日常会話に入り込めず、仲を深められずにいました。その結果、チームに貢献することが難しい状況に陥りました。そこで私は、チームに必要な役割を特定し、その領域で他のメンバーより秀でる努力をしようと考えました。なかなかチームに溶け込めない中でも、メンバーが自分に頼らざるを得ない領域を獲得することで、確実にグループに貢献しようと考えたのです。

例えば市場調査の科目では、統計を使う必要があったものの、メンバーが統計に苦手意識を持っていることに気づきました。そこで、統計に関する予復習を徹底して、授業ごとに統計ソフトの異なる機能を使いこなせるよう練習をしました。結果、最終課題では統計の解析を全て担い、チームに貢献することができました。また、その功績に対して食事をご馳走してもらうほど、チームに溶け込むことができました。

この他にも同じような方法で、合計7つの科目でグループワークを乗り越えることができました。この経験から、小さな領域でも専門性を持つことで弱点を補い、チームに貢献できることを学びました。そして、この考え方は今後社会に出た後も重要になるのではないかと感じ、社会人になる前に少しでも専門性を高めたいと考え、大学院への進学を決めました。

留学で培った精神と今後について

メルボルン大学キャンパス

帰国後は5年一貫教育プログラムを活用して、一橋ビジネススクールに進学する予定です。私は4年の春夏学期まで留学をしていましたので、秋冬学期から受講が本格化します。加えて、卒業論文や就職活動も本格化するため、正直なところ少し不安です。計画破綻のリスクや負荷の大きさを考えると、留学前の私であれば選ばなかった道だと思います。ですが、留学で培った2つの精神から、今は挑戦することに意味があると考えています。

1つ目は、「嫌なことから逃げない」という精神です。もともと安定志向で消極的な部分がある私は、留学中はあえて嫌なことに挑戦してみることを心がけました。すると、何かしらの発見や出会いがあったり、成長があったりすることに気が付きました。今では、自分が嫌だったり、迷ったりした場合はやったほうがいいと考えるようになりました。

2つ目は、「失敗しても何とかなる」という精神です。私がものごとを「嫌だな」と思う理由の1つは、その背後に失敗のリスクがあるからです。留学中にもいろいろと失敗はありました。その中でも一番のものは、留学先での住まい探しです。現地で出会ったばかりの友人との同居にチャレンジしたのですが、互いの意見が合わず部屋が見つからなかった結果、同居の話は白紙になり、危うく宿無しになる危機にさらされました。こうした経験を経て、大概の事は何とかなるというメンタルの強さを身に付けることができました。

これらの精神を養うことができる留学や、5年一貫プログラムという機会を与えてくださった職員・教員の皆様、関係者の方々、先輩方には本当に感謝しています。そして、一橋大学への入学や留学を検討されている方々へ、少しでも興味があったら、迷ったり、苦手だと思ったとしても、挑戦してみるといいことがあるかもしれません!