留学で培った多角的な視点を生かし、深く考え抜く姿勢を大事にしていきたい
2024/10/29
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(イギリス)留学 2023年9月〜2024年6月
渋沢スカラープログラム9期生
入学前からある程度長い期間留学したいと漠然と考えていたこともあり、一年間の海外留学が必須である渋沢スカラープログラム(SSP)への参加を決めました。SSPでは二年次より、商学部の科目やその他グローバルリーダーの素養を身につけるための授業を全て英語で履修します。留学前に「英語で」授業を受ける肩慣らしができたので、ほとんど受験英語しか触れてこなかった私にとって有意義なものとなりました。また、同期の多くが同時期に留学するため渡航準備や就活の情報を共有することもでき、非常にありがたい環境でした。
一橋の留学プログラムは提携校が多く国や学部の選択肢も充実しているため、希望に沿った留学先が見つかりやすいと思います。色々迷ったのですが、理系文系など特定の分野に偏らず幅広い授業を取ることができる、University College London(UCL)のArts and Sciencesを留学先として選びました。本格的なアカデミックライティングが習得できるという意味でもイギリスは最適であり、何よりも授業だけではなく日常生活から英語漬けにしたかった私には、ロンドンに位置するUCLはとても魅力的な学校でした。
留学先では商学の他、移民と健康の関係性や人種とジェンダー論といった分野も学びました。ほとんどの授業に少人数のグループワークがあり積極的に意見を交わすことが求められるため、最初は苦労しました。しかし授業資料を読み込んで予復習を徹底することで、英語が拙いながらも次第に自信を持って意見を伝えられるようになりました。フェミニズムの授業では、どのテーマにおいても白熱した議論が展開され、性別問わずあらゆる立場から日々熟考している姿が特に印象的でした。
UCLは留学生の比率が高く多様なバックグラウンドを持つ学生が集まるため、今まで見聞きしてこなかったような意見や視点に触れることができ、文字通り視野を広げる良い刺激となりました。自身の考えの浅さや、あらゆる事象に目を向け多角的に捉えることの重要性を痛感し、「自分はどう思うのか」を日頃から考える習慣がついてきたと感じています。商学系の講義で印象深かったのはGlobal Marketingという授業で、教授が学生それぞれの出身国の主要なブランド名を提示し、それらを用いてケーススタディを行った時のことです。日本はトヨタや任天堂、SONY、資生堂などが取り上げられましたが、「全部日本のブランドなの!?」と驚きの声が多くあがりました。私はそれらが「日本の」ブランドというよりも国際的なものとして浸透していることを誇りに思う反面、現在の日本に対する主なイメージは「漫画やアニメの国」であり産業的には印象の薄い国なのだと危機感も抱きました。
課外活動としては、まずストリングオーケストラサークルに所属し、その後はせっかくなら大学外の人々とも交流してみたいと思い、地域の老若男女が集まる週末の言語交換イベントにも参加しました。また、オンライン上で仲良くなったさまざまな国籍の友達と近所の公園巡りや小旅行を楽しみました。一対一で話す友人ができたことで英語力が格段に上がったと思います。ロンドンは交通の便が良く格安で他国に移動できるため、休暇中はイギリス国内のみならずヨーロッパ各地を周遊しました。英語や旅行にも慣れてきた頃に一人でバックパッカーとして旅をしたのも、自立心や柔軟性が養われる良い機会となりました。
元々楽観的な性格ではありましたが、留学を通して「なんとかなる」という精神がより身についたと思います。たとえ語学力や発言に自信がなかったとしても、思いを伝えようと努力すれば必ずどんな国の人ともコミュニケーションが成立することを、身をもって感じました。多様な文化や背景を持つ人々との出会いは、自分自身や日本を見つめ直す上で多くの気付きを与えてくれました。このような貴重な経験ができたのは、SSPをはじめとする一橋の制度や後押ししてくれた家族のおかげです。
帰国後は、藤原雅俊ゼミで卒業論文の執筆に励んでいます。留学で培った多角的な視点を生かし、深く考え抜く姿勢を大事にしていきたいです。来年の春からは社会人になりますが、SSPのメッセージである「Out of Your Comfort Zone」を忘れず、常に未知の世界に飛び込む覚悟を持ち続けたいと思います。
留学中は時間に余裕があり、自分次第でいくらでもやりたいことに挑戦できます。海外での生活に不安を感じることもあるかもしれませんが、得た経験は必ず成長につながります。少しでも興味があれば、ぜひ一橋の豊富な留学制度を見てみてください。