「特別講義(スタートアップと資本政策)」~一橋卒業生の起業家による特別講義

2025/05/29

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春学期に開講されている「特別講義(スタートアップと資本政策)」(担当教員:商学部 安田行宏教授・熊本方雄教授、代表講師:株式会社ストライク代表取締役社長 荒井邦彦氏 )では、日本経済の活性化のために成長が期待されるスタートアップの資本政策について、実際に上場を経験された経営者を講師にお招きし、ご講義いただいています。

講義は、本学卒業生で代表講師である荒井邦彦氏が、後輩の学生たちにスタートアップについて考えるきっかけとしてもらいたいとして、同じく本学卒業生の起業家に呼びかけ、昨年より始まりました。

商学部では、スタートアップに対するより深い理解が得られる学習機会として、夏学期に「スタートアップとIPOの理論と実務(みずほ証券寄附講義)」を、秋冬学期に「企業金融の理論と実務(みずほ証券寄附講義)」を開講しています。


本講義の意義/熊本方雄教授(商学部)

アントレプレナーの登場には、これまでにない商品やサービスの提供により消費が活発となり、そうした新しい企業が成長することで経済全体の活性化につながることが期待されます。しかし、日本と米国の企業の時価総額ランキングを見ると、米国は比較的新しい企業が上位を占める一方、日本は老舗企業が多く並ぶ状況です。日本経済の持続的成長と生産性向上のためにはスタートアップの育成が急務と言えます。スタートアップ企業にとっての資金調達は、創業当初は自己資金や周囲の資金によるものが多く、その後政府系やプライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルからの資金を得て、さらにIPOあるいはM&Aによる事業売却というExitへとつながりますが、そこまで到達するには多くの課題を乗り越える必要があります。本講義では、本学の卒業生であり、実際にスタートアップとして起業し、上場された経営者の方々をお招きし、それぞれの経験から得た学びをお聞きします。昨年から始まった本講義に登壇する経営者は、いずれも熱意とオーラに溢れた方ばかりです。本講義を通じて学生のうちに起業家と交流することで、皆さんの中から一人でも将来のスタートアップが登場することを願っています。

スタートアップへの思い/荒井邦彦氏(株式会社ストライク代表取締役社長)

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大学卒業後のキャリアとして大企業への就職を希望する人は多いと思いますが、世の中には大企業ではできないことがたくさんあります。人々の求めるものは多様であり、中には市場規模が小さいけれども確実に存在するニーズもあります。それらをすくい取ることができるのがスタートアップであり、起業家の役割だと思います。ただ、事業を始めるにあたり、大切なことは自分自身が何をしたいかということです。最近の起業家を目指す人の中には、「〇〇の社会課題の解決のために」といった理念が先行する計画を語る人が多くいます。私はそうした傾向には少し違和感を持っていて、むしろ起業家自身の情熱というか「欲」が見えることを評価します。その人がいかに熱意を傾けられるか、ということがまず大切なことで、それを実行するうちに社会に求められる形に進化していき、やがて社会的価値になるのだと思います。とは言え、自分は何をやりたいのか、それが見つかるタイミングは人によって異なります。10年後、20年後かもしれません。本講義に登壇する起業家たちも、スタートアップのきっかけはさまざまです。そうした経験を伝えることで、後輩の皆さんがスタートアップにより関心を持ってくれることを期待しています。