2025/10/22
チアリーディングとアルトサックスで一人二役
私は小学生の頃からクラリネットを始めて、大学生になっても趣味で続けていきたいなと思っていたんですが、もう一方で、新しいことをしたいという気持ちもありました。春の新歓でどこの部にしようかと思っていた時に、チアと楽器を兼任するのが一橋の應援部の魅力だというのを聞きました。楽器はクラリネットではないのですが、アルトサックスを演奏できて、それなら自分の楽器経験も生かせるなと思ったんです。高校(東京学芸大学付属国際中等教育学校)の頃にダンス部の同級生にも憧れていて、大学では自分もダンスに挑戦してみたいとも思っていました。チアリーダーになったのはいいけれど、もちろんダンスは初心者だったのでずいぶんと努力しました。先輩が部活以外に毎週時間を作って親身に教えてくださって、おかげでだいぶ上達することができました。先輩には感謝してもしきれないくらいです。練習をしていくうちに体力もついてきて、今では応援でも余裕がでてくるようになり、後輩にも目を配れるようになってきました。そういう意味で大学3年生になって、人としても成長を実感できたかなというのはありますね。
應援部と聞くと、「とにかく根性で叫び続ける」「倒れてもいいから頑張る」といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし近年では、これまでの応援形式を見直す取り組みも積極的に行っています。例えば野球の試合では、限られた部員数でも選手に効果的にエールが届くよう、応援を届けるタイミングを絞り、その分一回一回を大切にするなど、試行錯誤を重ねています。楽器の練習は部室で、チアやリーダー(学ランを着て、応援の指揮や拍手などをする部員)の練習は西キャンパスの陸上競技場で行っています。特に水曜日・木曜日の午後には、陸上競技場に大声で叫んでいる集団がいるので、すぐわかるのではと思います。興味があればぜひのぞいてみてください。
チアリーダー練習責任者として、自身が考えるリーダーシップを発揮する
今年はたくさんの後輩が入部してくれました。自分自身の実力を上げながら、上級生として後輩を指導していくというのは、なかなか難しいものだなと実感しているところです。後輩一人ひとりの強みと弱みを把握して、チア5人全体のレベルアップに最適な方法は何かを考えながら練習メニューを組み立てることを心がけています。現部員には、私のように大学からダンスを始めた人もいれば、高校からチアを続けている人、バレエ経験がある人など、さまざまな背景を持つメンバーがいます。そのため「自分が先輩だから」と変に見栄を張ることはせず、必要な時にはダンス経験の長い後輩からのアドバイスをしっかり聞いて、それを指導に生かすようにしています。
應援部の特徴として、学年に応じて求められる役割が明確に分けられていることが挙げられると思います。チアの練習も、基本的に学年が一番上かつ、その代の中で最もダンス技術に優れた部員が運営します。ただ私の代にはチアの同期がいない(かつ現4年生にはリーダーの先輩しかいない)ため、練習運営は必然的に私が担うことになります。卒部された先輩方からお話を伺うと、私の経歴からすれば楽器指導を担当するのが本来の役割かもしれないと感じることもあります。ですが、「これまで楽器をやってきたから、チアの指導は無理」と諦めてしまうのは、應援部の先輩としての責任を果たしていないと考えています。大学からチアをはじめた自分だからこそできる後輩への指導もきっとあると思うし、先輩・後輩関係なく協力して高め合える環境をつくることで、より強い一橋チアを作っていきたいと思っています。
商学部での学び
商学部の授業では特に経営組織論に関心があります。印象に残っている学びとして、坪山雄樹先生(商学部准教授)の「経営組織論」の授業の中で教えていただいた、研究データに関するエピソードがあります。ある調査において人が相手に対して文字を書いて見せる際に、権力のある人は自分から見た方向で文字を書き、そうでない人は相手から見た方向で書くという統計結果があるそうなんです。その話を聞いたときに、もしかしたら自分も上級生になった時に、下級生に対して無意識に上から目線の指導をしてしまうんじゃないかという危機感を感じました。今も度々このエピソードを思い出しては、そうならないようにと気を引き締めています。もしこの授業を受けていなかったら、たぶん今ほど意識できていなかったと思いますね。
3年次からの主ゼミは鎌田裕美先生(商学部教授)の観光マーケティングゼミで、主にはパブリック・リレーションズ(Public Relations; PR)や広報の情報発信の戦略の立て方について学んでいます。グループワークでは、「新潟県の魅力発信」をテーマに、外国人をターゲットにした観光客誘致の施策を考えるということもしています。このゼミを選んだ背景には、ゼミ選考の時期である2年生の冬、当時6人だった應援部の部員をもっと増やしたいと考え、部の魅力を春に入学する新入生にアピールするにはどうすれば良いかを日々考えていたことがあります。鎌田ゼミで広報・PRについての本を扱った際には、自分が新歓期に取り組んできた部の広報活動を学術的に分析して振り返ることができ、良い学びになりました。
鎌田先生は私たち学生の興味関心に合わせていろいろな機会をくださる一方で、学生の自主性も尊重してくださいます。ただゼミに参加しているだけでは何も得られない、自分でしっかり考えて、ゼミ生同士でこういう活動をしたいとかを話し合い提案することが絶えず求められているなと思います。受け身でなく、自主的に授業に参加することで、考える力も鍛えられているのではないかと感じています。
将来の目標と後輩へのメッセージ
應援部の活動を通じて、課題を見つけ、その解決案を考えていくことに大きなやりがいを感じています。将来の仕事でも、社会の中で人々が抱える課題を解決し、より多くの人の幸福度を高められるような仕事に携われたらと考えています。これまで應援部の活動が辛くなったとき、応援相手やOB・OGの方々など関わってくださった方々から、「ありがとう」「元気が出たよ」などと言われたことが、大きなモチベーションになってきました。誰かの幸せや笑顔のために頑張れる職業は、とても魅力的だと思っています。
後輩の皆さんへのメッセージとしては、一橋大学には本当に温かい人や高い目標に向かって頑張っている人が多いので、モチベーション高く学生生活を送れるし、いろいろな出会いが自分の人生を豊かにしてくれると思います。一日一日を大切に、自分のやるべきこと・やりたいことを後悔なく頑張ってほしいです。
【関連サイト】
一橋大学体育会應援部HP