【一橋大学の科研費研究】「社会課題への取り組みにおける企業内部メカニズムと外部ステークホルダーとの連携」/李 佳蓉(経営管理研究科 特任講師)

2025/10/01

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」です。ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行います。研究者によるピア・レビューという検証プロセスの利点は、研究計画の妥当性を専門家の視点からより正確に判断できるほか、応募者にとって、同じ分野の研究者に自分の研究がどう評価されるかを知る機会にもなっています。このことは、とりわけ若手の研究者にとって一つのインセンティブになっているといえます。本学の研究環境は研究大学としての文化や風土が根付いており、新規課題採択率は、例年全国1位を獲得しています。

今回は、李 佳蓉特任講師の科研費研究「社会課題への取り組みにおける企業内部メカニズムと外部ステークホルダーとの連携」についてご紹介いたします。

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李 佳蓉

2017年対外経済貿易大学商学部卒業(中国)、2021年一橋大学大学院経営管理研究科修士課程修了。2024年一橋大学大学院経営管理研究科博士後期課程修了。2024年4月より現職。研究キーワードは、新興国企業研究、国有企業、企業と社会、ステークホルダーエンゲージメント、企業の社会的責任活動、非市場戦略、組織コミュニケーション、ハイブリッド組織、企業の社会課題への取り組み。

研究テーマ:「社会課題への取り組みにおける企業内部メカニズムと外部ステークホルダーとの連携」

研究期間(年度):2025-04-01 - 2030-03-31  研究種目:若手研究  審査区分:小区分07080:経営学関連

研究計画:

本研究は、企業が社会課題に取り組む際に、組織内部の意思決定や制度、従業員の価値観といった内的要因と外部ステークホルダーとの連携がどのように組み合わさって、企業の社会的責任(CSR)活動を推進するのかを明らかにするものです。近年、ステークホルダーとの共同参画は企業の評判や持続可能性と強く結びついており、その実践を理解することは、企業と社会の関係性を再考する上で重要性を増しています。本研究では、日本と中国の企業を比較対象とし、CSRがどのように組織内外で生まれ、制度の違いの中でどのように形づくられていくのかを検討します。異なる国家制度における企業の動きの比較を通じて、CSRの国際的理解を深めることを目指します。