北海道から東京へ、一橋大学の商学部という選択肢 商学部3年 森風也さん

2025/11/19

一橋大学商学部を選んだ理由

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一橋大学を選んだ理由は、まさにインスピレーションです!変に思われるかもしれませんが、名前がカッコいいとピピッときたのがきっかけです。もともと国公立志望だったのですが、まずは大学名を見て他大学は地名を大学名に据えている中で、「一橋大学」というのは「字面」が理知的で格式高いというイメージがありました。自身の受験を振り返ると、高校1年生の後期に文系・理系の選択をするんですが、1年生ではあまり将来のことはイメージできなくて、最初の印象だけで一橋大学にまず決めて、一橋であれば文系という順序で進路が決まりました。学部については、経済学部と商学部の間で迷ったのですが、国立の商学部の中では一橋が最高峰であることと、より企業に焦点を当てて実践的な学びが得られるので、商学部を選びました。もう一つは、以前から本州の大学に行きたいと思っていたという背景もあります。2歳上の兄がいるのですが、小中高校はずっと一緒に通っていて、そろそろ兄とは別の道を歩みたいとも考えていました。

初めての東京生活

受験を乗り越え、一橋大学に合格して、そこで改めて「そうだ、自分はこれから初めての一人暮らしなんだ」と思ったらなんだか不安になりました。それまでは食事も洗濯も、母に頼り切っていた身の回りのことを「これ全部自分でやるんだ」という現実に直面して、行く前からホームシックになってしまいました。地元を離れることについては、僕と同じように遠方の大学に進学する同級生が何人もいたので、特に寂しい思いはなかったのですが、どちらかというと自炊や一人暮らしの不安の方が大きかったですね。

でも一人暮らしだと思っていたのですが、大学の寮に申し込んでいたので、部屋もシェアルームのような形で、いわゆる「一人暮らし」ではないということが、東京に来てみて初めて分かりました。しかも、シェアルームで最初に出会ったのがフィリピンからの留学生で、いきなり国際交流からのスタートです。「東京・一人暮らし」は「半留学・シェア生活」となり、事前のイメージとはかなりギャップのある滑り出しでしたが、一橋の大学生活はここから始まりました。

充実した寮生活-学生宿舎コミュニティ・アシスタント(CA)に立候補

写真(寮の写真があれば)

私が暮らしているのは一橋大学国際学生宿舎一橋寮(小平)の共用タイプの部屋です。玄関を共有する個室6室が1つのユニットとなっていて、共用スペースとしてリビングルームやトイレ、シャワー室、洗濯室があります。6人のルームメイトは、半分は協定校からの短期留学プログラムの学生が中心で、残る半分の日本人学生も定期的に入れ替わっています。大学の国際交流を促す仕組みとして、学部の1・2年生には、ユニットタイプに積極的に入居してもらい、そこに留学生も混在させて国際交流の促進を図っているようです。メンバーが入れ替わる中で皆が気持ちよく過ごすことができ、自身の生活もより充実させたいと思い、2年生の時にコミュニティ・アシスタント(CA)に立候補しました。CAは6人で共有するユニットの運営に携わります。生活習慣の違う6人が同じコミュニティで生活するわけですから、トラブルが起きることもあります。ですから、皆を取りまとめるCAとして、生活マナーの共有やユニットのルールを作ったり、互いの交流を深めるためのたこ焼きパーティーなどを企画したりしています。6人の意見を合わせていくのは大変ですが、積極的に寮の運営に係ることで人間的な成長は大きいと思います。

自身のアイデンティティをより強く意識する

東京に来て、入学式の頃に桜が咲いているのを見て、これこそ「ザ・入学式」だなぁと感動したり、冬でも自転車に乗れるということに驚いたり、生活の中で北海道との違いを感じる場面はたくさんあります。そうした中で、自分が北海道出身ということをより強く意識するようになりました。また、周囲の皆さんが憧れをもって故郷の話を聞いてくれるので、誇りを感じています。高校生までは、自分のアイデンティティは札幌市の中の範囲だったものが、東京に場所を移したことにより、大きく広がりました。また、親元から離れるという生活の変化もあり、自分の中で気づいていなかったことに気づける大きなチャンスにもなっています。

大学での学び

一般的に商学部というと、"公認会計士になるために勉強するところ"というイメージがあるかもしれませんが、一橋大学商学部は資格者を育てるというよりも、経営人材を育成する方に重点があるように思います。実際に3年のゼミでは、安田行宏先生(商学部教授)のゼミに所属して、コーポレートファイナンスを勉強しています。特に今は、銀行と企業の関係性に興味があり、英語の文献も読んだり、学外のビジネスコンペティションにチームで挑戦したりもしています。

商学部では、1年次から導入ゼミがあり、3年生になると主ゼミとして特定の分野を決めて、その分野の教授の下で学んでいきます。もともと金融に興味があったのですが、導入ゼミで安田先生に指導を受けて、分野でゼミを選んだというより安田先生の下で学びを深めたいと思いゼミを選んだ形ですね。

また、私は副ゼミとして美術史を専門とする小泉順也先生(言語社会研究科教授)のゼミにも所属しているのですが、一橋は社会科学系大学でありながら、美術史のような文学部的なものや理系のようなソーシャル・データ・サイエンス学部もあり、学びの範囲がとても広い大学だと思います。さらには提携している大学*の講義も単位互換の下で履修できるので、そうした制度を上手く使うと自分の好きなことを学べる間口の広さがあります。高校時代にこの先何をしたいか決めきれない場合でも豊富な選択肢を用意してくれていると思います。

* お茶の水女子大学・東京外国語大学・東京科学大学・一橋大学による四⼤学未来共創連合、
多摩地区国立5大学間(東京外国語大学・東京学芸大学・東京農工大学・電気通信大学及び一橋大学)並びに津田塾大学との単位互換協定

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表情豊かに話してくれました

これからの選択

卒業後の就職先はまだ幅広く考えていて、金融だけではなく、インフラとか海外で働くことも視野に入れています。働く場については、東京なのか、故郷の北海道に戻るのかということもこれから決めなければと思っています。東京の大学に進学した高校の同期と会うと、よくそんな話題が出るのですが、皆もまだ結論が出ていない感じです。僕もこれからいろいろ考えていこうと思っています。

地元を離れ遠方から東京の大学に進学する人は、大学でこれを勉強したいとか、将来何になりたいという明確な目標があった上で、その進学を決断しているケースが多いと思います。でも、自分が受験生の時にはそうした明確な目標はなく、ある意味「直観」で決めてきました。ですが、一橋大学に入学してみて思うのは、この大学に入学したからこそここでやりたいことが見つかり、これからの将来も少しずつ見えてきました。一橋大学は、いろいろなことに挑戦できる機会を与えてくれる大学ですので、ぜひ遠方の皆さんも臆せずにチャレンジしてほしいと思います。

【ゼミ担当教員】安田行宏教授

森さんは、ゼミにおいても新しいことに意欲的に取り組み、新鮮な視点を提供してくれています。

一橋大学商学部では、経営学・会計学・マーケティング・金融を中心に、ビジネスに関わる幅広い分野を横断的に学ぶことができます。ゼミに代表される少人数での学びや、寄附講義といった実践的な授業を通じて、社会で活躍するために必要な基礎的な力をしっかり伸ばせる環境が整っています。国立の緑あふれるキャンパスでは、四季の変化が楽しめる落ち着いた雰囲気の中で4年間じっくり腰を据えて大学生活を満喫できます。

遠方からチャレンジする皆さんにとっては不安もあるかもしれませんが、全国から意欲ある仲間が集まる一橋なら、きっと新しい自分にも出会えるはずです。ぜひ、一橋でのキャンパスライフを存分に楽しんでみて欲しいと思います。