商学部での学び

4つの基本分野

一橋大学商学部で、専門教育課程における教育プログラムの中核を構成するのは、①経営学、②会計学、③マーケティング、④金融の4つの領域です。

商学部で学べること:主要4領域

平易に言えば、現実のビジネスにおいて、経営学では「企業がどのような事業戦略を展開するか」を、マーケティングでは「どのような製品を企画して販売するか」を、金融論では「そのために必要な資金をどのように調達し運用するか」を、会計学では「そのような企業経営努力によってどれだけの売上や利益が上がったのか」を分析的に学びます。各専門領域はビジネス上相互に連関し、ビジネス・企業経営に関する知的基盤を形成するうえでそれぞれ互いに不可欠です。商学部のカリキュラムでは、各領域の科目が有機的に連関するように年次進行に合わせて提供され、すべての学生が全領域の科目を履修できます

一般的に商学部では公認会計士の資格を取る学生は多くいますが、一橋大学商学部では、それだけではなく、将来の「Captains of Industry」として企業経営や産業界をリードする人材を育成しています。

カリキュラムの構成

一橋大学商学部では、入学から卒業までの4年間にわたる体系的な教育プログラムが用意されており、「講義」と「ゼミナール」を車の両輪として学習するように設計されています。

基礎から応用までの段階的な専門科目教育

商学部は、経営学・会計学・マーケティング・金融という4つの領域を中心としています。それぞれの領域における科目は、「導入科目」「基礎科目」「発展科目」という3種類から構成されています。各領域において、基本的な知識と考える力をまず身につけ、次いで応用的な知識・能力を段階的に修得できるよう工夫された科目配置となっています。

4年間にわたるゼミナール教育

ゼミナールは、一橋大学で100年以上も続いている伝統的な教育スタイルです。指導教員が10名前後の学生と小さな教室で向き合って専門書を読み、議論を重ねています。こうして濃密な学問の時間を共に過ごすことで、学生は普段の講義以上に深い学びを得ています。

導入ゼミナール(1年次)/前期ゼミナール(2年次)

商学部は、このゼミナール教育にかなりの力を注いでいます。学年進行に対応して、「導入ゼミ(1年次)」「前期ゼミ(2年次)」「後期ゼミ(3・4年次)」という各種のゼミナールを設け、その時々に適した学びの場を提供しています。導入ゼミと前期ゼミにおいて、学生は社会科学的な考え方に関する基礎的な力を身につけています。その後、3年次を迎えるにあたって学生は自らの関心に沿って専門領域を選び、望ましい後期ゼミを受講します。ここでは、専門領域について集中的に取り組み、学びを深めています。4年次には、後期ゼミの担当教員によるきめ細かい指辺を受けながら、卒業論文の執筆へと進んでいきます。

後期ゼミナール(3・4年次)

後期ゼミでは、教員やゼミの仲間と特に濃密な時間を共有します。そのため、卒業後も活発な交流が続いています。こうした人的ネットワークも、学生にとってかけがえのない財産になっています。

国際的な人材育成のためのカリキュラム

英語コミュニケーションの向上

PACE(1年生)について

一橋大学商学部では、2012年度から独自の科目を開設し、商学部の学生の英語コミュニケーション・スキル向上に努めてまいりました。現在では、これが全学的に拡張され、全ての学部1年生が履修するPACE(Practical Applications for Communicative English)に発展しました。PACEは、高校までに培った英語の基本的な能力を土台として、「聞く、話す、書く、読む」というコミュニケーション・スキルを実践的な水準に転換するための科目です。

EDGE(2年生以上)について

商学部では2017年に、さらに高度な英語コミュニケーション・スキルを身につけるために、2年生以上の学生に対して独自科目・EDGE(English Discourse for Global Elites)を設定し、こちらも現在は全学的な科目となっています。EDGEは主にビジネスの世界で活躍することを将来的な目標とする学生のために、工夫を凝らされたさまざまなカリキュラムが設置されており、熱意あふれる教員が、密度の濃い講義を展開しています。1年次に身につけた英語力も、その後、何もしなければ次第に衰えてしまいます。これを大学時代にさらにブラッシュアップし、確実に自分の力とするための科目がEDGEなのです。

EDGEでは、1年次にPACEで築いた英語力をさらに伸ばす意欲をもつ多くの2年生以上の学生の参加を期待しています。

渋沢スカラープログラム

一橋大学商学部では、世界の経済・社会の発展にビジネスを通じて貢献するグローバル・リーダーを育成することを目的に、「渋沢スカラープログラム(SSP)」を2014年度から本格的に開始しました。SSPでは、1年次の終わりに約15名の学生が選抜され、2年次から英語のゼミナールや長期の海外留学を通して、国際的なビジネスの場で必要とされる論理的思考力や分析力を養成します。SSP修了者には「渋沢スカラープログラム修了証(サーティフィケート)」が授与されます。

データ・デザイン・プログラム(DDP)

一橋大学商学部では、広がり続ける情報(データ)の世界と、ビジネスに関する諸問題を、「デザイン」でつなぐことができる新しい経営者や企画者の育成を目指して「データ・デザイン・プログラム(DDP)」を2021年度から本格的に開始しました。DDPでは、1年次の終わりに商学部だけでなく全学部横断型で約30名の学生が選抜され、2年次から情報学や人工知能科学、デザイン思考などを学びます。DDP修了者には「データ・デザイン・プログラム修了証(サーティフィケート)」が授与されます。

大学院への進学と「学部・修士5年一貫教育プログラム」

「学部・修士5年一貫教育プログラム」を利用し、商学部で4年間学んだ後、さらに高度な勉強をしたい人には、所定の試験を受けて大学院に進学する道も開かれています。大学院へは通常は学部を卒業してから進学することになりますので、大学院で修士号を取得するまでには、学部入学時から数えると最短でも6年間(=学部4年間+修士課程2年間)かかるのが普通です。この学部・修士5年一貫教育プログラムでは、学部4年次から大学院修士課程の授業を履修することによって、修士課程を形式的には、1年間(実質的には学部4年次を含めて2年間)で終えることで、1年間短縮できます。

5年一貫教育プログラムについて