学生研究誌『ヘルメス』編集委員会/一橋のアカデミズムの伝統を引き継いで

2026/02/10

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一橋大学学生研究誌『ヘルメス』は、1902年(明治35年)に東京高等商業学校時代に誕生した一橋会の『一橋会雑誌』がルーツです。1924年(大正13年)に学生研究分野が分離して、同年3月創刊の『ヘルメス』がその役割を担うようになったという歴史と伝統がある学生研究誌で、投稿もアカデミックなものが集まっていました。その後、2008年3月発行の59号を最後に一旦休刊し、この度、一橋大学創立150周年を機に復刊された第60号では、金融論から文芸批評まで多岐に渡るものが掲載されています。一橋生は、一橋大学で学んだのちは、産業界のリーダーとして活躍していますが、一方で、一橋大学のアカデミズムについても、わが国で最も古い社会科学の総合大学として常に学界を先導してきた歴史と実績があります。この学生主導で編集される学生研究誌『ヘルメス』は、そうした「アカデミックな一橋生」という特徴を表した雑誌となっています。今回は、『ヘルメス』の編集委員会の代表大澤拓真さん(経2年)と、広報の李始佑さん(商2年)に、『ヘルメス』復刊の思いや、今後の活動についてお話を伺いました。

学生研究誌『ヘルメス』との出会い

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大澤さん

私は、ヘルメス編集委員会の顧問教員でもある、大月康弘先生(副学長・経済学部教授)のもとでお世話になっていたのですが、ある日大月先生からOBの田中全さん(1976年経卒)をご紹介いただきました。その時に田中さんが在学中に編集に携わっていた、『ヘルメス』についての話を伺いました。これまで一橋大学に学生が編集、発行をしている学生研究誌があるということをまったく知らなかったのですが、田中さんから話を聞いて、この伝統を引き継ぐために何かできることはないかなと思い、創立150周年の記念に『ヘルメス』の復刊に挑戦し、編集委員会を立ち上げました。

李さん

私ももともと『ヘルメス』のことを知っていたわけではないんですね。私と大澤君とはそれぞれ商学部と経済学部に所属していて別の学部なのですが、英語のクラスが一緒で仲良くなったんです。『ヘルメス』を知ったのも大澤君に誘われたのがきっかけです。私は商学部の基礎ゼミで金融を学んでいて、今回の創刊60号の論文部門にも『ステーブルコインの「ドル覇権」への影響』という論文を投稿しています。

大澤さん

OBの田中さんから話を聞いたときは、最初はそんな学生研究誌があったんですね、という感じでした。ですが、一橋大学付属図書館でこれまでの『ヘルメス』に投稿された論文を読んで調べていくうちに、ビジネスの最前線で活躍しているイメージのある一橋生が、在学中にはこんなに学術的なことをやっていたんだと感動しました。自分は実務より学問畑の人なので、共感したというか、自分の居場所を見つけたというような、そういう思いでした。

李さん

一橋生が自分の考えをまとめて発表できるようなプラットフォームみたいなものが、学内にそんなに多くあるわけではないと思うので、これは貴重な雑誌かなと思っています。編集委員会側も学生が主体で運営をするというのをコンセプトとしていますし、意思決定や今後の方針などについても、週に2回ぐらいは総会という集まりの時間を設けて、学生同士で話し合いをしています。

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大澤さん

復刊に向けて活動を始めた頃は、何をどこからやればいいのか右も左も分からないし、投稿が少なくて冊子もペラペラになってしまうのではないかと不安だったのですが、皆さんからは、しっかりした論文を多く投稿していただきました。集まった論文については、本編集委員会の有志学生が査読をして、投稿された方へメッセージ付きでお返しし、それをまた修正していただいたものを掲載するという形です。最終的には11月下旬の一橋祭で配布をするという目標を掲げていたので、そこまでに何とか完成をさせなくてはということで頑張ってきました。配布に至っては、当初は大々的に行わなくてもよいのではという意見もありましたが、やはりこの『ヘルメス』を伝統として残していくためには多くの人に知ってもらうことが必要であると考え、一橋祭での大型配布を決意しました。

先輩方の思いをつなぐ

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大澤さん

先輩方が情熱を注いできたこの伝統は、素晴らしいものだと思います。そして社会課題を真剣に考える一橋生の多さを窺わせます。しかしこの伝統が一度途切れてしまったのは、社会課題に一橋生が向き合う場所や機会が減ってしまっていることを象徴しているのではないかと思います。これから社会で活躍していく一橋生である以上、やはり一緒に社会なるものを考えていきたいと願っています。

一方で、一橋大学は社会を考察する社会科学の大学ですし、社会に対する何かしらの思いを持っている一橋生は、見えにくいだけで実際多いと思うんですね。そこで、先ほど李君が言ったような、一橋生が社会について話せる共通の場所を、『ヘルメス』が担えたら嬉しいと思っています。また、一橋生の思いや考えを発信する学生研究誌『ヘルメス』を読むことで、一橋らしさというものが見えてくるのではないかと思います。こういうわけで、先輩たちから託された『ヘルメス』を今、私たちが受け継ぐことにもやはり意味があるのかなと思います。次は2026年の一橋祭での刊行を予定していますが、これからも先輩方とのつながりも大切にしつつ、学生主体となって活動を続けていきたいと思います。

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李さん

休刊になっていた『ヘルメス』を、私たちが復刊させた以上、責任感を持って後輩に引き継いでいきたいですね。そのために新しい仲間をみつけることだったり、論文の執筆であったり、ある種の使命感をもって活動を続けていきたいです。今後はアカデミックなゼミみたいなものも展開していこうと思っていて、1年生が主導でKODAIRA祭にも参加しようと考えています。

後輩へのメッセージ

大澤さん

私たちヘルメス編集委員会は、一橋生の思いを読者に共有・発信することを軸に据えて活動しています。自分の思いを発信するために、ぜひ『ヘルメス』を活用し投稿してみてください。大学で学んだことを言葉にして発信することで、学びがより深まることもあります。論文の投稿あるいは、ヘルメス編集委員として一緒に活動をしていただけたら嬉しいです。

李さん

学生研究誌という名前もあって、少し難しそうかなと思う方もいると思いますが、論文からちょっとしたエッセイなども扱っていますので、ぜひ挑戦してみてください。編集委員には勉強会や、編集活動という楽しみもありますので、ぜひそちらも参加していただけたらと思います。


【関連情報】
一橋大学ヘルメス編集委員会ホームページ
※『ヘルメス』は図書館雑誌棟1階に配架予定です。
第56回一橋祭レポート/「第8回ゼミ対抗プレゼンコンテスト」
一橋大学附属図書館