先輩に聞く「進路」/愛川優さん(大学院修士1年)

2026/06/15

往還する知の探求
現場で探索し、学びの場で消化する

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私はオープンキャンパスの商学部の模擬講義に参加したのをきっかけに、一橋大学を志望しました。模擬講義は国立市周辺のファーストフード店を事例に、ポジション別の競争戦略を読み解くというもので、身近な経済活動について学ぶ商学の面白さに強く惹かれました。また、商学部の学びは、経営学の各領域で興味がある分野を選択して研究に取り組み、一橋ビジネススクールでも教えている教授陣のもと、1年次から少人数ゼミで学べる環境があるというのも志望した動機のひとつです。国立のキャンパスは都心から離れ、敷地内には歴史ある校舎が点在していて、自然に囲まれた静かな環境で、自分のやりたいことに本気で集中できると思ったことも決め手でした。

商学部のゼミは、学びの醍醐味そのものです。私が所属した円谷昭一先生のゼミでは、統合報告書や有価証券報告書を分析し、より良い企業の情報開示や企業価値向上の仕組みを学びます。特に印象に残っているのは、情報をただ並べるのではなく、一本の芯を通して構造的に整理されたプレゼンテーションを作成し、物事を体系的に解釈するということです。「ゼミ生は人生最後の友だちになる」と、円谷先生がおっしゃっていたとおり、登山や工場見学などの活動を通じて、一生つながっていく友情を育むことができました。

また、私は学会での研究発表やカンファレンスへの参加も経験させていただきました。例えば、日本マーケティング学会にてポスター発表をしたり、実務に近いところでは、2社で長期インターンを行いました。金融系スタートアップとベンチャーキャピタルでインターンを行う日々は、起業家の自分の会社にかける熱量と何事にも本気で取り組む姿勢に価値観が揺さぶられる毎日でした。

ですが、起業家やベンチャーキャピタルで働く投資家たちが本当に好きだからこそ、スタートアップ企業で見受けられる、成長を優先するがゆえに生じるさまざまなマイナス面や、業界として制度がまだ完成されていない面について問題意識を持つようになりました。スタートアップ業界ではこれが正しいのだろうかと、これを問題として認識するか迷っていた時期に、指針を与えてくれたのが、田中一弘先生の講義『企業と倫理・社会』で学んだ、渋沢栄一の「道徳経済合一説」です。「道徳と経済は本質的に一致する」というもので、「道徳的に良いことをしていれば、それだけで自然とお金が稼げる訳ではないが、道徳的に良いことをして、そのうえでお金が稼げるように努めるべきだし、それは十分可能だ」という考えです。商学部の教育・研究の基本理念に「理論と現実の往復運動」がありますが、このインターンを通じて、教科書だけではわからない、実際に働いている人たちや環境を知ったからこそ、企業倫理は組織を支える不可欠な土台であると実感しました。

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(『商学部パンフレット2027』インタビューより)

そして、私はデザイン(設計)を学ぶため、アメリカの大学院に留学します。将来的にはアメリカのスタートアップで働きたいです。そんな私にデザインの奥深さを教えてくれたのが、データ・デザイン・プログラムです。特に『新商品開発基礎』は、デザインにのめり込むきっかけとなった講義であり、新しいモノを作るための考え方や方法論について学びました。グループワークでは、自治体と協働しながらプロジェクトに取り組みました。私たちは「小学生向けのデザイン思考の教育法の確立」をテーマに活動し、現在はその成果を論文としてまとめています。私にとっては、プログラミングもデザインも目的ではなく「表現したいことを形にするための手段」です。サービスや商品には多彩な意図が逆算して組み込まれている。商品から逆算して設計者の意図を考えることに面白さを強く感じており、将来は私も誰かを感動させるようなモノづくりがしたいです。

受験生の中には、もしかしたら、まだやりたいことが見えず、進路選択に不安を感じている方もいるかもしれません。しかし、不確定な未来に対して明確な将来像を描けている人のほうが少ないと思います。大切なのは、どのような環境に身を置いても、自分は何が好きなのかを捉えて、目の前のことにきちんと取り組み、ワクワクする意思決定をすることだと思います。一橋大学商学部は、そのための機会を惜しみなく与えてくれます。あなたにとって最も良い大学生活をお過ごしください!