2026/06/16
京丹波町の観光動画を制作
新しい観光のあり方をデザイン
DDP4期生が、行政・地域と連携して、京都府船井郡京丹波町の観光動画「帰りたくなるまち ―京丹波町―」を制作しました。これはDDPの講義・年次ワークショップの一環で実施された京丹波町プロジェクトの一つで、総務省「ふるさとミライカレッジ」の対象プロジェクトです。現地を訪れて学生が主体的にフィールドワークやインタビューを行い、体験して感じたことを基に、シナリオ構築から映像表現まで行いました。単なる観光地の紹介ではなく、関わり続けたくなる関係を生み出すことを目指した、新しい観光のあり方をデザインする取り組みとなりました。
今回はこのプロジェクトに参加した、商学部4年の中澤莉子さん、宮下莉子さん、山口純佳さんに制作秘話を伺いました。
京丹波町
京都府のほぼ中央部、丹波高原の由良川上流部に位置し、自然豊かな約303平方キロメートルのまちには、約1万5千人の町民が暮らしています。標高400~900メートルの緑深き山々に囲まれ、南側の山地は分水嶺の一部を成しています。古くから都と山陰地方を結ぶ交通の要衝として栄え、現在も京都縦貫自動車道やJR山陰本線、三つの国道が交わり、京阪神など大都市圏へ1時間台で移動できるなど交通環境に恵まれた地域です。(京丹波町役場HPより)
-----プロジェクトはどのように進められたのでしょうか。
中澤さん
観光PRのプロジェクトということで、当初は顧客のターゲットを関東圏に絞り、バスツアー等を検討していました。しかし、関東から京都、しかも京丹波町にピンポイントに訪問するというのは、物理的・心理的なハードルが高い。そこで、まずは京丹波町に関する認知と興味喚起が大切だと考え、観光PR動画制作を決めました。
宮下さん
目的として、単なる観光地の紹介ではなく、町と関わりながらプロジェクトを進めることが大事だと考えて、京丹波町には2025年の6月頃から2026年2月まで、1泊2日の日程を中心に計5回ほど訪問しました。最初は、町内のさまざまな観光スポットを巡り、地域の課題、訪問客層、訪問理由などを調査。並行して観光客や地域の方々へのインタビューも行い、最終的には約30組、90名にヒアリングを実施しました。この調査をもとに、観光誘致策について具体的に考えられるようになってきたと感じています。
-----この観光PR動画で伝えたいことは?
山口さん
「観光とは有名な場所を巡ることだけではなく、人や地域との関係性の中で心が動く体験でもある」ということを伝えたいです。京丹波では、人々の繋がりやあたたかさ、自然、どこか懐かしさを感じる空気感、そして豊かな食の魅力といった体験を通じて、観光には「人との繋がりを通して心が動く価値」があると実感しました。この体験をもとに、動画では東京に住む親子が京丹波町を訪れ、人との交流や地域の温かさに触れる中で、親子関係における葛藤や自分自身と向き合っていくストーリーを描きました。東京で生活する学生だからこその等身大の視点を通して、京丹波町の魅力と、新しい観光のあり方を表現しています。
-----なぜ実写とアニメーションを融合した表現を採用したのでしょうか?
中澤さん
京丹波の風景の「リアルさ」と登場人物への「共感」を両立させるためです。
当初は全編実写を想定していましたが、演技経験のない学生が京丹波の魅力をどこまで伝えられるのかが課題でした。そこで、京丹波の美しい自然は実写で最大限に伝え、登場人物はアニメーションで親しみやすさを出すという構成に決めました。
メンバー全員が映像制作未経験でしたが、DDPの先生方に構成案や絵コンテのアドバイスをもらい、撮影についてはプロのカメラマンから撮影技術を学ぶなどして一から形にしていきました。
山口さん
アニメーションの声は、ほとんどが私たち学生と地元の方によるものです。特に京丹波イノベーションラボの方には、動画の声優を快くお引き受けいただきました。また、アフレコのため東京までわざわざお越しくださり、とても嬉しかったです。この方には主人公の父親の友人役の声で出演していただいているので、動画視聴の際は、そこにも注目していただきたいです。
-----このプロジェクトを通して得たものは?
宮下さん
現地を訪れた際には、マロンフェスタや、京丹波イノベーションラボなどの活動にも参加して、このプロジェクトを通じていろいろな方と交流ができましたし、地域の方が本当に温かく迎え、応援してくださったことに心から感謝しています。また、町の魅力がどうすればよりよく伝わるのか、メンバーが一緒に考え、形にしていく過程はとても楽しかったです。
しかし、完成した動画を広めていくための協力を得る難しさも実感しているところです。現在は、京丹波町のホームページやYouTube、Instagramに私たちが制作した動画を掲載していただいている他、味夢の里などの京丹波町内のスポットでの放映を行っています。今後はより多くの方にこの動画や京丹波町の魅力を知っていただけるよう、上映会やSNSでのさらなる発信などを企画しています。また、DDP京丹波アプリチームが観光アプリを制作しているため、そうした媒体とも組み合わせながら、より多面的に町の魅力を発信していきたいと考えています。
この記事を読んでくださっている皆さんにも、ぜひ一度私たちが制作した動画を見て、京丹波町について知っていただけたら嬉しいです。
中澤さん
このプロジェクトを通じてさまざまな立場の視点を集結させ、形にする力を得ました。私たち学生のこだわりだけでなく、予算や時間の制約、自治体との協力、先生方からの助言など、立場によって異なる意見があります。それらを検討し、一つの作品に落とし込む難しさを痛感しました。意見の板挟みに会う場面もありましたが、「京丹波の魅力を届ける」という原点を忘れないように意識しながら制作を行いました。この経験から、困難な状況でも試行錯誤して周囲も巻き込みながら完遂する力や自信を得ることができました。
-----後輩へのメッセージ
山口さん
DDPは、企業や行政と連携し、自分たちのアイデアを実際の社会課題や地域と結びつけながら形にできる、とても貴重なプログラムだと思います。私自身、京丹波町プロジェクトを通して、大学での学びが現実の課題解決につながる面白さを実感しました。また実際に現地に足を運んで人と関わる中で視野が大きく広がることも身をもって体感しました。ぜひ、皆さんも大学生活を通して、さまざまなことに積極的に挑戦してほしいです。
※動画班が制作したプロモーションビデオの背景には、町の方のご協力のもと撮影した素材を使用しています。
【関連サイト】
一橋大学商学部DDP
京丹波町の行政参画 その2(動画へのリンクあり)
京都府京丹波町
GREEN GREEN KYOTAMBA
NPO法人京丹波イノベーションラボ