2026/08/17
留学のきっかけと留学先での学び
私が留学を志したのは、将来、国境を越えた意思決定に関わる分野で働く上で、専門知識だけでなく、異なる価値観を持つ人々と対等に議論し、協働する力を身につけたいと考えたからです。SSPでは、二年次から英語で商学部科目を履修し、ディスカッションやグループワークを通じて、留学に向けた学問的・精神的な準備を進めることができました。また、同じ時期に留学を目指す仲間と、渡航準備や履修、就職活動について情報交換できたことも、大きな支えとなりました。数ある留学先の中でアメリカのカリフォルニア大学バークレー校 (UCバークレー)を選んだのは、ビジネススクールでファイナンスや経営を学べることに加え、シリコンバレーに近く、挑戦や変化を前向きに捉える空気に身を置きたいと考えたからです。出発前は、世界中から集まる優秀な学生の中で自分がどのような価値を出せるのか、不安もありました。しかし、現地で最初に感じたのは、単に知識量や語学力の差ではなく、学びに対する姿勢の違いでした。UCバークレーでは、正解を待つのではなく、まだ整理しきれていない仮説であっても議論の場に投げ込み、他者との対話を通じて考えを磨いていく姿勢が求められます。その環境に身を置く中で、留学とは海外の大学で授業を受けること以上に、自分がそれまで当然だと思っていた学び方を問い直す経験なのだと感じました。
教室の内外で触れた、UCバークレーの思考の文化
UCバークレーでの学校生活は、常に自分の考えを試される日々でした。専攻であるコーポレートファイナンスに加え、価格設定や競争戦略の授業などを履修し、企業価値や価格戦略、経営判断について、ケースやデータをもとに議論する機会が多くありました。その学びの中で特に印象的だったのは、現地の学生たちが必ずしも完成された意見を持って発言しているわけではないということです。むしろ、発言することで自分の考えの粗さを明らかにし、そこから議論を深めていく。その姿勢に触れたことで、私自身も「間違えないように発言する」のではなく、「議論に貢献するために発言する」という意識に変わっていきました。また、授業外では学食のダイニングで働いた経験も印象に残っています。そこでは、授業で出会う学生とは異なる形で、アメリカの日常や働き方に触れることができました。忙しい時間帯のチームワーク、スタッフ同士の何気ない会話、学生との短いやり取りの中には、教室では学べない人との距離感や文化が表れていました。バークレーという場所の面白さは、授業の中だけでなく、キャンパスの外にも知的な刺激が広がっている点にあります。カフェで友人と将来について語った時間、サンフランシスコ湾を眺めながら考えを整理した時間、異なる専攻や国籍の学生と楽しく話した時間。その一つ一つが、自分の視野を少しずつ広げてくれました。
違いを埋めるのではなく、違いから価値を出す
留学を通じて最も大きく変わったのは、「自分と他者の違い」をどう捉えるかという点です。留学前の私は、海外の学生と同じように振る舞い、同じスピードで議論し、同じ基準に近づくことが成長だと考えていた部分がありました。しかし、多様なバックグラウンドを持つ学生たちと学ぶ中で、重要なのは差をなくすことではなく、その差をどのように議論に持ち込むかだと気づきました。日本で学んできた企業観、一橋で培った商学や財務の視点、自分自身の経験から見える問題意識は、現地の学生とまったく同じではないからこそ意味があります。これは、私のキャリア観にも大きな影響を与えました。金融は一見すると数字を扱う仕事ですが、その背後には企業の将来、経営者の判断、社会への影響があります。だからこそ、異なる立場の人々の考えを理解し、その上で自分なりの視点を提示する力が不可欠だと感じるようになりました。 また、日常の中で意見を交わし、問いを立てる機会を自分から作ることの大切さも感じています。これから留学を目指す方には、語学や成績の準備だけでなく、「自分は何を見たいのか」「何を問い直したいのか」を持って渡航してほしいと思います。留学中に得られる学びは、授業の中だけにあるわけではありません。自分の当たり前が揺さぶられた瞬間にこそ、最も大きな成長のきっかけがあります。SSPで掲げられているように、自分のComfort Zoneを一歩出た先には、想像以上に深い出会いと学びが待っていると感じています。
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