商学部の魅力――安田行宏教授に聞く①

2022/10/13

人生の素養を磨く、多彩な「学びの場」を提供

一橋大学商学部は、1875年設立の商法講習所以来の歴史を誇る、日本を代表するビジネス教育の殿堂であり、近年ではグローバルな評価もますます高まっています。商学部の魅力について、企業金融論が専門で「ビジネス・エコノミクス」の講義などを担当する安田行宏教授に聞きました。

グローバルスタンダードに適合するビジネス教育

――商学部の特徴は、どんな点にありますか。

ひと言でいえば学生と教員、学生同士の「距離の近さ」でしょう。そもそも一橋は社会科学に限定された比較的小規模な大学であり、学生数は現在の4学部合わせて1学年1000人弱です。来年度からはソーシャル・データサイエンス学部が新設されますが、学生と教員、学生同士の距離が近いことに変わりはなく、いろんな人との交流がしやすい環境にあります。学ぶ仲間、教員との距離の近さを象徴するのが、一橋で100年以上の伝統を誇る「ゼミナール(ゼミ)」での活動です。いずれのゼミも、1学年数名から十数名という少人数で行っているのも特徴です。

商学部では、まず1年次に「導入ゼミ1」「導入ゼミ2」、2年次に「前期ゼミ1」「前期ゼミ2」というそれぞれ半期ずつのゼミを履修します。続いて、3~4年次は「後期ゼミ」に所属し、4年の終わりに卒論を提出します。後期ゼミの前に半期のゼミが4つもあり、しかも全て必修です。これは他にはあまりみられない、最近の一橋商学部教育の大きな特徴といえます。

――商学部では主要領域として、経営学、会計学、マーケティング、金融論の4領域が設定されていますね。

経営系・商学系の大学やビジネススクールにおいては、この4分野を備えていることがいまやグローバルスタンダードになっています。2021年にビジネス教育の国際認証団体であるAACSBによる国際認証を取得しました。大学院経営管理研究科のみならず商学部も合わせたフルパックで取得していることが大きな特徴であり、日本のビジネス教育界にあって、先駆的にグローバル目線の標準化に取り組んでいることの証左といえます。

――「学部・修士5年一貫教育プログラム」「渋沢スカラープログラム」「データ・デザイン・プログラム」などユニークな制度もあります。

「学部・修士5年一貫教育プログラム」は一種の飛び級制度で、学部入学時から数えて最短5年間で、学士号と修士号の両方を取得できるプログラムです。前倒しでどんどん先に進んでいきたい人は、こうしたコースにチャレンジできます。商学部の先には大学院経営管理研究科があり、研究者養成コースと実務家向けのMBAコースが用意されています。

HUB全体図
商学部の先には、大学院経営管理研究科がある。新卒で「研究者養成コース」修士課程、MBAコースの1つである「経営分析プログラム」へ進む道のほか、「学部・修士5年一貫教育プログラム」も利用できる。社会人を経験してから、HUBの修士のその他各種コースに進むことももちろん可能だ。

「渋沢スカラープログラム」は英語での教育を特徴とし、1年間の留学が必須です。学生時代に世界に視野を広げることは大変重要です。一方、データなど技術志向の学生であれば、2021年度に新設された「データ・デザイン・プログラム」にもぜひ挑戦していただきたいと思います。

こうした多様なメニューを活用して、たとえば渋沢スカラーで留学して、かつ5年で学士号と修士号を取ることも理論上は可能です。要するに、"青天井"で学んでいけるしくみがあるのです。われわれ教員も、とことん学びたい学生を全力でバックアップします。

AACSB国際認証は、大学院経営管理研究科・経営管理専攻/商学部 (SBA) 並びに大学院経営管理研究科・国際企業戦略専攻 (ICS)がそれぞれ取得。 日本国内で6校目、国公立大学としては初めての取得。 https://www.sba.hub.hit-u.ac.jp/hitmagazine/2021/07/-aacsb-1.html

学部・修士5年一貫教育プログラム
https://www.cm.hit-u.ac.jp/learning/#fiveYears

渋沢スカラープログラム
https://www.cm.hit-u.ac.jp/learning/ssp/index.html

データ・デザイン・プログラム
https://hddp.jp/