一橋大学 HIT MAGAZINE

■ 先輩に聴け!

「与えられた機会を活かして、自分の可能性を拓く」
 日本ロレアル株式会社 木田麻衣子さん

連載シリーズ「先輩に聴け!」では、一橋大学商学部を卒業した先輩に、大学時代の思い出や現在のお仕事、在学生へのメッセージなどを伺います。先輩の経験談に自分を重ねてみたり、新たな目標を見つけたり。

今回ご登場いただく方は、日本ロレアル株式会社にお勤めの木田麻衣子さんです。

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◆一橋大学商学部に入学された経緯を教えて下さい。

入学前は、大学に入ったら公認会計士を目指そうと思っていたので、商学部を本命として、商学部なら一橋大学だと思って、受験しました。
ただし、入学後には会計や簿記よりも、経営戦略論や経営組織論に関心は移っていきました。

◆入学した後は、どのような印象を持ちましたか。

1年生の時から必修の授業でグループワークをしたり、少人数のゼミに参加する機会もあり、大教室の講義だけではなく、グループで何かを成し遂げること、少人数で議論し合うことなどを経験できたことは、今でも、一橋大学の商学部を選んでよかった、と思える点です。

また、国立という立地は入学前に聞いていたとおりに素晴らしく、四季により変わりゆく景色やのんびりとした雰囲気がとても好きでした。

◆木田さんがおっしゃっているように、一橋の特色の1つは少人数のゼミですが、3年からの後期ゼミでは、どのようなことを学んだのですか。

担当されている先生の授業がとても興味深く、先輩方の雰囲気もよさそうだった経営学のゼミを選びました。
そのゼミでは、英語の文献を読み、毎週レポートにまとめなければならないという、とても生半可な気持ちではついていけない内容だったので、週1回の授業のためにかなりの時間を費やし、徹夜もしながら準備をしたのを覚えています。
ゼミのメンバーが皆とても優秀で、彼らの視点やまとめ方、先生からのフィードバックなどで、「深く考えること」の重要さを学ぶこともできました。また、ゼミ選びの時に感じたとおり、雰囲気が良く、先輩たちとも未だに個人的に会うくらいの関係が築けるところだったので、ゼミが終わった後も先生や先輩方とほぼ毎回食事に行ったりして、ゼミの仲間と過ごす時間も大事にしました。今でも、ゼミの先輩や同期で集まる機会があるくらいです。

◆授業以外で力を入れたことはありますか。kida2

授業以外では、モダンジャズ研究会というサークルに入り、先輩たちとのセッションや年に3回ほどの演奏会の練習などに励んでいました。社会人になった今でも、楽器の演奏は続けています。
また、アルバイトにも励みました。大学院に入るまでは家庭教師、定食屋、カジュアルアパレルなどで、多いときには1週間に6日間働いていました。

◆大学院といえば、木田さんは5年一貫コース(注1)でMBAコース(注2)を修了されていますが、当時の状況などを教えて下さい。

3年生でほぼ卒業に必要な単位を取り終えることができることがわかり、ゼミの先生にも勧められたので、5年一貫でMBAコースを受験し、4年生のときから進学しました。

周りはほとんどが社会人を経験された方々で、その中で一緒に学ばせてもらえるのは本当に刺激が多かったことを覚えています。日頃異なる仕事に携わっている、異なる考えを持った人々と、たくさんの文献を深く読み、皆で議論をし、現実社会に当てはめて考える、といったプロセスはとても貴重でした。
学部のときよりもさらにハードで、周りもやる気に満ちて経験も豊富な、当時の私から見たら「大人」ばかりだったので、いつも落ちこぼれ気分でしたが、今でも、そのときの苦労は役に立っていると感じますし、同期のみならず上の代や下の代の方々とも交友できる機会も設けられ、貴重な進学をさせてもらったと感じています。
また、今の会社と出会ったのも、この大学院のおかげだったので、それも含め、快く進学を認めてくれた両親にもとても感謝しています。

◆MBAコースに進学されたことが、現在のお仕事につながっているということですが、入社された経緯を教えていただけますか。

就職活動のときは、消費財メーカーのみに絞って活動をしていました。ふだんの生活で目にする製品を扱っている会社で、日常的に自社製品に触れて、誇りを持ちながら仕事をしたいと思っていたのと、いずれは経営戦略を考える部署に就くために、まずは製品開発から携わりたいと思っていたためです。
中学・高校とカリフォルニアで過ごしはしましたが、外資系企業は合わないように感じて、日本企業で、しかも機械の方が好きだったので、自動車メーカーや精密機械メーカーなどに、最初は関心を持っていました。

しかし、MBAコースのマーケティングの授業で、当時はロレアルとのケーススタディを行っており、そこで現在の会社と出会いました。ケーススタディを進めていく中で、日本だけでなくフランスの本社の雰囲気も見せてもらえましたし、人材育成に対する姿勢や、世界での会社の規模、業績、事業内容などに惹かれました。そこで、外資系の化粧品という、当初の関心とは違った会社ではありましたが、エントリーしました。
実際に受けてみると、私の授業内での様子やプレゼンテーションの内容、人柄などをしっかり見ていてくれた方も含め、面接で評価してくれて、ここまで私のことを理解した上で採用してくれる企業はこの会社くらいだろうという思いもあり、入社を決めました。

◆会社に入って、最初はどのようなお仕事を担当されたのですか。

採用時にはマーケティングを希望していましたが、新卒採用担当として内定を受け、入社しました。
しかし、入社直後であるにもかかわらず、採用の戦略などを考えさせてもらえることに驚きました。もちろん、先輩と上司に助けてもらうことばかりでしたが、その戦略に沿って、学生の採用に関わることはほぼすべて経験したと思います。

そのプロセスでは、社内でどのような部署に何人インターンが必要か、新入社員が必要か、どういった人材を求めるかなどのヒアリングも必要だったため、新入社員ながらも、多くのマネージャーと話す機会を与えてもらえたことも、とても貴重な経験でした。
学生に自分の会社の魅力を伝える仕事であったため、さまざまな職種の興味深い点やロレアルという会社だからこそできることに目を向けたり、優秀な社員と話す機会などにも恵まれ、会社へのロイヤリティが高まったとも感じています。

◆その後は、どのようなお仕事をしてきたのですか。

4年目には後輩が入社し、すべてを一通り一緒に担当しながら仕事を引き継いだあとに、「メイベリン ニューヨーク」というブランドのデジタルマーケティング部門に異動しました。
それまでと全く異なる仕事だったために何もわからずもちろん苦労はしましたが、もともとデジタルの世界に興味があったので、この異動はとても嬉しく、楽しく新しい世界になじむことができ、今でも異動できてよかったと感じています。

その後しばらくしてオンラインサイトの運営をするチームに異動となりましたが、ここではデジタルマーケティングほど華やかなページ作りはないものの、ページの更新内容やメールマガジンの配信、キャンペーンの実施など一つ一つの取り組みがダイレクトに製品の売り上げにつながっていく楽しみがあります。

◆後輩の皆さんに向けて、メッセージをいただけますか。

これから就職活動を控えている方にいつもお伝えしているアドバイスは、自分を偽らないことと、さまざまな可能性に対してオープンでいることです。
入社すれば、嫌でも1日のほとんどをその会社で、もしくはその会社の社員として過ごすことになります。採用してもらうために自分を偽り、その偽りの姿をもとに無事入社できたとしても、その偽りの姿のままずっと仕事を続けることは難しく、本当の自分の姿になったときに、その会社が合わず辛い思いをしてしまうこともあると思います。
そうなるよりも、本当の自分を見せ、その上で自分を採用してくれる会社の方が、心地よく働ける可能性が高いのではないでしょうか。

また、意外と、自分に合う組織や仕事が何なのか、というのは自分でもわからないもので、苦手だと思っていたことが実際やってみたら得意分野だったり、得意だと思っていたのに実際はなかなかうまくいかない、といったことも、出てくると思います。
仕事の内容や仕事仲間が変われば、できなかったことができるようになることだってあります。
それを考えると、与えられた機会に対して常にオープンでいて、その中で本当に自分に合うこと、得意なこと、好きなことを見つけていく、というのも、よいのではないでしょうか。

企業との出会いは、「縁」であるとよく言われており、まさにその通りだと思うのですが、明確な目標を持ちそれに向かって突き進むことでその「縁」を自ら勝ち取っていける人と、さまざまな可能性に対してオープンでいることで「縁」を磁石のように引きつけていける人といると思うのです。
選り好みをせず、与えられた機会はとりあえず活用してみる、という姿勢を持てば、自分の知らない意外な面も見られるかもしれません。

最後に、大学卒業後もたくさんの素晴らしい人々と出会う機会はありますが、大学時代に出会う仲間は、卒業後の仲間とは違う、かけがえのない存在です。
学生の間も、ぜひたくさんの友人を作り、その仲間との関係を大事にしてください。

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注1:「5年一貫コース」とは、成績優秀者を対象として、大学入学から大学院修士課程修了まで、通常6年かかる課程を5年で終えることができる、一橋大学商学部の制度です。

注2:MBA(経営学修士)コースとは、経営や会計、ファイナンスの高度な実践能力を養成する大学院修士課程です。

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kida1木田麻衣子さん(旧姓 井上麻衣子さん)

米国カリフォルニア州Palos Verdes Peninsula High School卒業。2004年3月、一橋大学商学部卒業。2005年3月、一橋大学大学院商学研究科経営学修士(MBA)コース修了。
同年4月に、日本ロレアル株式会社に入社し、人事本部新卒採用担当、同社コンシューマー プロダクツ事業本部メイベリン ニューヨーク事業部デジタルマーケティング担当、公式オンラインサイト担当を歴任。
現在は同社コンシューマー プロダクツ事業本部eビジネス部で、「メイベリン ニューヨーク」や「ロレアル パリ」も含めたeコマースのプロジェクトを担当。

(2015年4月10日)